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【6033】株式会社エクストリーム 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2025年3月28日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社エクストリームは優秀な人材が数多く在籍する「デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクション」です。

代表取締役社長CEOの佐藤 昌平氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社エクストリームを一言で言うと

「デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクション」です。 

エクストリームの沿革

株式会社エクストリーム 代表取締役社長CEO 佐藤 昌平氏

創業の経緯

当社の創業は2005年です。

それまでの十数年間は、ゲームソフトウェア開発やパチンコ・パチスロなどの遊技機開発などを行うエンターテインメント業界でサラリーマンとして働いていました。

その業界の中で「自分たちの手でヒット作を生み出したい」という強い思いがありました。

突き詰めて言えばそれが創業の原点です。

自分たちでヒット作を世に送り出すこと、それが一番のモチベーションでした。

もちろん、最初からすぐに何かができたわけではありませんが、そうした思いを共有した4人のメンバーが集まり、「株式会社エクストリーム」を設立するに至りました。

オンラインゲームの隆盛

当社を立ち上げる前の日本のゲーム業界といえば、任天堂さんやソニーさんが販売したゲーム機を軸に、家庭用ゲーム機向けのパッケージソフトを販売するスタイルが主流でした。

そのため、私たちも「まずは家庭用ゲームの受託開発から始めよう」と考え、パブリッシャー各社に精力的に営業を行っていました。

ありがたいことに、小規模な案件は少しずついただけるようになりました。

そこへ新たな風を巻き起こしたのが、オンラインゲームの存在でした。

当時は、ガンホーさんやアエリアさんをはじめ、韓国からオンラインゲームを輸入して日本国内で展開する会社が増え始め、上場を実現していたのです。

オンラインゲーム市場の勢いが急激に伸びていくのを肌で感じている中で、「やはり私たちもオンラインゲーム分野に進出した方が良いのではないか」と考えるようになりました。

当時の市場はまだまだ韓国からの輸入タイトルが中心でしたが、日本人プレイヤーの間では「日本人が、日本人向けに丁寧に作った純国産ゲームのほうが、もっと支持されるのではないか」という声が高まってきていたのです。

このタイミングこそが、我々にとって大きな転機となりました。

実際に私たちもオンラインゲームの開発に乗り出し、いくつかのタイトルの受託開発を手がけることになったのです。

開発が無事に完了し、クライアントに完成したソフトウェアを納品してからも、「開発メンバーにそのまま運営にも携わってもらい、引き続き当社に常駐してほしい」というクライアントからの強い要望をいただく機会が増えてきました。

そうしたクライアントの声に応え続けるうちに、「デジタル人材事業」という現在の当社の柱の一つとなった人材常駐型のビジネスモデルが自然と生まれ、定着していったのです。

デジタル人材領域の拡大

その後は、時代の流れとともにモバイル技術が目覚ましく進歩しました。

特にモバゲーさんやグリーさんのような、ソーシャルネットワークとゲームを融合させた新しいエンターテインメントサービスが登場し、大きな盛り上がりを見せるようになりました。

そういったサービスの運営にも当社の人材を派遣する形で深く関わるようになり、「デジタル人材事業」としての需要はますます拡大していきました。

当初は私たちも、家庭用ゲームソフトウェアの開発やパチンコ・パチスロ機の画像演出の開発などを主力事業として想定していましたが、結果としてネットワークを活用したエンターテインメント分野が自然と会社の中心事業へと変化していったわけです。

このように、当社はオンライン化・モバイル化という時代の波を、まさに最適なタイミングで捉えることができました。

結果として、それまでの「納品をして終了」というフロー型のビジネスモデルから、「納品後の運営フェーズまでしっかりとサポートし、継続的に収益を得るストック型ビジネス」へとシフトしていくことができたのです。

会社の成長を加速させた大きな要因だったと感じています。

パブリッシャーとしてヒット作を連続して出すことは容易ではありません。

しかし、人材を軸にしたビジネスであれば、ストック型として収益を安定的に積み上げていくことが可能になります。

特に当社のような「現場常駐型」の人材サービスでは、安定したニーズをもとに、持続的かつ着実に規模を拡大していくことが可能です。

こうした背景があり、私たちは順調に成長を続けてくることができたのだと考えています。

株式会社エクストリーム 2025年3月期 第3四半期 決算説明資料 より引用

エクストリームの事業概要と特徴

概要

当社のビジネスは大きく3つの事業を柱として成り立っています。

それが「デジタル人材事業」「受託開発事業」「コンテンツプロパティ事業(IP事業)」です。

まず「デジタル人材事業」は、当社に所属するクリエイターやITエンジニアといった専門性を持つ人材を、クライアント企業の開発現場に常駐させ、プロジェクトの支援や業務サポートを行うサービスです。

一般的にはSES(技術者派遣)と呼ばれる事業であり、当社とクライアント企業との間で派遣契約や準委任契約を結び、エクストリームの社員が直接お客様のプロジェクトに参加し、一緒になって開発を進めていくという形を取っています。

次に「受託開発事業」についてお話しさせていただきます。

これはクライアント企業からプロジェクト単位でソフトウェアやゲームの開発、システム構築、運用といった業務をまるごと請け負うというものです。

当社では、社内に専門のプロジェクトチームを作り、お客様のご要望を細かくヒアリングした上で、要件定義・設計から開発・テスト・納品、さらに運用保守まで、トータルで一貫して対応しています。

この事業は成果物の提供によって対価をいただくため、特に規模の大きなプロジェクトでは売上規模も大きくなるという特徴があります。

そして最後の「コンテンツプロパティ事業(IP事業)」は、当社が保有するゲームタイトルやキャラクターなどの知的財産(IP)を活用し、様々な形で収益を上げる事業です。

具体的には、ゲームコンテンツの自社開発・運営をはじめ、他社へのライセンス提供、ゲームソフトの販売などを行っています。

「ラングリッサー」シリーズや「超兄貴」シリーズなど、当社グループ全体で100を超えるIPを保有しています。

最近では特に、子会社のDragami Gamesが「LOLLIPOP CHAINSAW RePOP」というタイトルを発売し、北米を中心に大変好調な売れ行きを見せ、当社の業績に大きく貢献しているところです。

このように、3つの事業がそれぞれの強みを活かして相互に連携しながら成長を続けています。

株式会社エクストリーム 2025年3月期 第3四半期 決算説明資料 より引用

事業における優位性

UI/UXへの高い理解と開発力

私たちは元々エンターテインメント業界、特にゲームの分野から事業をスタートし、比較的早い時期からスマートフォン向けアプリの開発にも積極的に取り組んできました。

そもそもゲームというものは、他のコンピューターソフトウェアと比べると、取扱説明書がとても薄いのが特徴です。

たとえば昔、「一太郎」のようなワープロソフトが登場した頃には、まるで電話帳のような厚さのマニュアルが付属していました。

それに対して、「ドラゴンクエスト」のようなゲームソフトでは、付属している説明書はせいぜい8ページから16ページほどです。

それだけ薄いマニュアルでありながらも、プレイヤーの皆さんには数十時間、時には100時間以上も夢中になって楽しんでもらう必要があります。

つまり、ゲーム開発においては、「説明がなくても直感的に操作できるインターフェース(UI)」と、「触っているだけで自然に楽しさが伝わる体験(UX)」が何よりも重要です。

こうした環境の中で培われてきた「UI/UX」の設計力が、近年のスマートフォン向けアプリの開発においても、大きく役立っています。

スマホアプリというのも、当然ながら説明書などなくても直感的に操作できなければ、すぐにユーザーの方々が離れてしまいます。

私たちはこうしたエンターテインメントソフトウェア業界で積み重ねてきたUI/UX設計のノウハウを最大限に活用し、スマートフォンのアプリ開発においても高い評価を得てきました。

当社も上場から早くも10年が経ちますが、今ではこのようなUI/UXに関する強みを、エンターテインメント領域だけにとどまらず、非エンタメ分野のお客様にも積極的に展開しています。

その結果、我々がこれまでエンターテインメントソフトウェアの開発経験の中で磨き上げてきたUI/UX設計の技術や考え方が、業界の垣根を超えて多くのお客様からご評価いただき、幅広い分野で採用されるようになってきています。

株式会社エクストリーム 2025年3月期 第3四半期 決算説明資料 より引用

人材育成力とエコシステムの構築

当社は設立当初から、人材育成という点にはとても力を入れてきました。

人材こそが事業を支える最大の資産であるという考えからです。

その中でも、私たちは実際の現場で経験を積むことができる「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」型の教育を大切にしています。

具体的には、当社のグループ会社に“お客様”としての立場を担ってもらい、若手社員や経験が浅い社員を受け入れていただき、教育する方法です。

こうしてグループ内の実務プロジェクトを通じて実践的なノウハウを習得させ、それをもとに社員が成長し、他のクライアント企業様へと高度な技術を提供していくという好循環が生まれています。

これは単なる座学や研修だけでは決して得られない、リアルな経験や実務感覚を養うための最適な仕組みだと考えています。

また、このような仕組みをグループ会社の中に持つことができるという点は、当社ならではの強みであり、他社ではなかなか簡単に真似することは難しいはずです。

当社では、このような人材育成と事業の拡大が相互に影響を与え合い、循環していく仕組みを「エコシステム」と位置付けています。

このエコシステムがうまく機能することで、社員が短期間で実践的な能力を身に付け、それが結果として事業のさらなる成長を後押しする、という良い循環を実現できているのです。

株式会社エクストリーム 2025年3月期 第3四半期 決算説明資料 より引用

PMIについての考え

過去に、当社では複数の企業のM&Aを進めてきました。

ただ、企業を買収した後のPMI(経営統合)を成功させるためには、クリアすべき課題がいくつかあります。

まずひとつ目が「総務的な部分」、つまり会社規程や文化といった、最低限統一しなければならない仕組みづくりです。

PMIの初期段階では、できるだけ早いタイミングで「会社規程は可能な限り同じものに統一しましょう」と話を進めるようにしています。

給与体系についても、基本的には一つの基準に揃えるよう取り組んでいます。

次に経理・財務面では、財務会計だけでなく、「管理会計」の仕組みをどう統合するかが重要です。

特に、各企業が用いているKPI(主要業績評価指標)をすり合わせ、共有することが非常に重要だと考えています。

これを行うことで、それぞれの会社がもともと持っている強みを損なうことなく、互いに理解し合い、一体感をもって経営が進められるようになります。

ただ、こうした統合はやはり時間がかかります。

会社の規程統一などの総務的な部分は、M&Aが成立してからおよそ半年程度で完了させるようにしています。

しかし、管理会計やKPIなどのすり合わせには、やはり最低でも1年くらいの期間が必要です。

その間、常に双方の状況を見ながら、柔軟に調整を加えていくことが大切だと感じています。

特にKPIに関しては、「売上高がどのように構成されているのか」という部分を非常に重要視しています。

たとえば、すでに製品を販売している会社であれば、売上は明確に数字として把握できますが、そうでない企業もあります。

そのため、当社ではM&Aを検討する段階で、「どのように予算計画を立てているか」を非常に重視します。

中期経営計画を提出していただくほか、「4期分の月次計画を見せてほしい」とお願いすることもあります。

月次の計画が、財務的な数値だけでなく、それがいくつかのKPIに分解され明確になっている企業であれば、その後の経営統合も比較的スムーズに進めやすいと感じています。

このように、過去何度もPMIを経験してきたことで、PMIを円滑に進めるためのノウハウが蓄積されてきました。

この経験こそが、今後さらにM&Aを積極的に進めていく上でも、当社にとって非常に大きなアドバンテージになると考えています。

エクストリームの成長戦略

各事業の成長戦略

まず、デジタル人材事業の成長戦略についてお話します。

現在、日本国内ではIT業界に限らず、あらゆる業界で人材不足が深刻化しています。

当社においても同じ状況で、特に新型コロナウイルス感染症の流行と重なった時期には、人材確保が困難になり、一時的に成長が鈍化したこともありました。

しかし、現在ではベトナムのハノイに本社を置く子会社「EXTREME VIETNAM」を通じて、日本人だけでなく外国籍のエンジニアやクリエイターなど、多様な人材をお客様のニーズに応じて提供できるような体制を築いています。

今後はこうした国境を越えた人材供給の仕組みをより一層強化し、グローバルかつシームレスに人材を提供できる企業を目指していきたいと思っています。

次に受託開発事業の成長戦略です。

こちらについては、単純に「依頼されたものをそのまま作る」というような受け身のスタイルから脱却し、

お客様に対して当社の強みをより明確に打ち出し、単なる価格競争ではなく、価値を訴求した営業展開を進めています。

実際、この2年間で受託開発事業の利益率は大きく改善しており、これはお客様が当社の提供する価値を理解し、評価してくださっている証だと思っています。

受託開発事業では今後さらに、当社の持つソリューションを「カタログ」のようにわかりやすく可視化することで、インバウンドでの営業活動をより強化したいと考えています。

そして最後にIP事業についてご説明します。

この事業は「誰かに言われて作る」というような受動的な姿勢では決して成功しない世界です。

少し例え話をしますと、お笑い好きな若者が「人を笑わせたい」と思い、お笑い芸人を目指そうとしたときに吉本興業さんは非常に魅力的な存在であると思います。

同様に、才能あるクリエイターが自ら集まってくるような「夢を形にできる環境」を整えることが非常に重要です。

当社も、そんな才能ある人々を引きつける存在になりたいと考えています。

そのために、今後は「自社で新しいIPを生み出す」という取り組みにも力を入れていきます。

エクストリーム本体の中で独立した組織を立ち上げ、自由に新しいことにチャレンジできる環境を作ることも検討しています。

ある意味「一発当ててこい」と送り出すような気概をもって、分社化も視野に入れつつ、魅力あるIP創出の仕組みづくりを進めていきたいと思います。

株式会社エクストリーム 2025年3月期 第3四半期 決算説明資料 より引用

エクストリームの現状とベンチマーク

現在、当社はデジタル人材事業や受託開発事業を中心として、BtoBをメインに活動しています。

そのため、一般的には「デジタル人材を提供する企業」あるいは「クライアント企業向けに受託開発を行い、成果物を納品する企業」として認識されていると思います。

私たち自身も、それは正しい捉え方であると感じています。

しかし、ここ最近、私がひそかにベンチマークとして意識している企業があります。

それがサイバーエージェントさんです。

サイバーエージェントさんは規模としては当社よりはるかに大きな会社で、広告代理店が本業ではありますが、グループ会社のサイゲームスさんなどの存在もあって、ユーザー目線から見ると「いつも面白いことを仕掛けている会社」というイメージが定着しています。

つまり、企業の外側にいる人たちからも自然に興味や関心を持たれるような存在になっているということです。

私たちエクストリームも、こうしたユーザー視点でのポジショニングに少しずつ近づいていきたいと考えています。

事業戦略の中でもお話ししましたが、「この会社、なんだか面白そうだな」と外部から感じてもらえるような会社になることで、自然と魅力ある人材が集まってくる、そんな会社を目指したいのです。

人が集まる会社になれば、さまざまな企業からも「あの会社にぜひ協力してもらいたい」といった声が増えていくでしょうし、その結果、良い循環が生まれると考えています。

その流れをより強め、エクストリームをさらに魅力的な企業として成長させていきたいと考えています。

株式会社エクストリーム 2025年3月期 第3四半期 決算説明資料 より引用

DX化の追い風により受託開発分野は好調

受託開発についても、ここ数年はありがたいことに、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関連したご依頼を数多くいただいており、順調に推移しています。

世の中のDX化の動きが活発化する中で、その需要にスピーディーかつ柔軟に対応できていることが、当社エクストリームの大きな強みの一つだと感じています。

特に、DXを進めるうえで必要なデジタル人材については、現在、市場全体で見ても圧倒的に人手が不足している状況です。

そのため、この分野では常に非常に高い需要があります。

当社ではここ数年、ITコンサルティング会社やWebサービス企業との取引も広がってきました。

ゲームやエンターテインメント領域で培ってきた高度な技術やノウハウを、こうした他業界のDXプロジェクトへ横展開させることができているのです。

これにより、当社の事業ポートフォリオはより安定し、競合他社との差別化にもつながっています。

さらに近年では、ありがたいことに、直接toC向けのビジネスを展開されている企業様からのお問い合わせも多くいただくようになりました。

会社を立ち上げた当初は、中間に複数の企業が入っていることも多く、私たちは最終的なクライアント様とはお会いできず、エンドユーザーの顔が見えないまま開発を進めざるを得ないこともありました。

しかし今では状況が大きく変わり、エンドユーザー企業様と直接コミュニケーションを取り、共に設計を行うことが増えています。

問題が起きればリアルタイムで共有・連携を図りながら、一緒に課題解決を目指していけるような体制を築くことができています。

こうした密な関係を構築することで、より質の高い開発を実現でき、お客様にも喜んでいただけるようになりました。

今後も当社の強みを活かした戦略で、コンスタントに案件を獲得していきたいと考えています。

株式会社エクストリーム 2025年3月期 第3四半期 決算説明資料 より引用

豊富なIPを積極的に活用

当社は、幸いなことに多くの有力なIPを保有しています。

そのなかでも特に東アジアで高い人気を誇っているのが、「ラングリッサー」シリーズです。

この作品は、中国、台湾や韓国、そして日本において非常に根強いファンを獲得しており、過去にはセールスランキングでベスト3にランクインするほどの実績もあります。

また昨年、当社の子会社であるDragami Gamesが手掛けた「ロリポップチェーンソー(LOLLIPOP CHAINSAW RePOP)」については、特に北米、欧州市場で約20万本以上を売り上げるなど、非常に好調な成果を収めています。

日本やその他のアジア地域だけでなく、北米、欧州市場を含めたグローバルな範囲でこれほど広く認知されているIPを保有している企業というのは、当社と同程度の企業規模では他になかなか無いのではないかと考えています。

これまでの当社のIPビジネスは、どちらかというと他社に「ライセンス提供」をするスタイルが主流でした。

つまり、私たちの保有するIPを他社様に貸し出し、その使用料を収益として得る形です。

現在はDragami Gamesが中心となって、よりグローバルな視点での積極的な展開を行っています。

今後の大きな課題は、この貴重なIP資産をどのように最大限活用し、成長の原動力として活かしていくのか、ということです。

このIPという資産を「原石」と捉え、いかに磨き上げ、世界市場に展開していくかが、私たちにとって今まさに取り組むべき重要なテーマだと考えています。

株式会社エクストリーム 2025年3月期 第3四半期 決算説明資料 より引用

人材戦略

現在の日本が抱えている最大の課題は、やはり人口が増えないことだと考えています。

これはおそらく今後も避けられない事実でしょう。

もちろん100年後には状況が変わっているかもしれませんが、少なくとも今の時点で、自然に人口が増えることは期待できないのが現実です。

先日も、「日本の一人当たりGDPが世界で50位程度にまで下落する可能性がある」という内容の記事が新聞に掲載されていました。

では、どうやってそれを引き上げるのか。

その鍵を握っているのが、「ITやDXをどれだけ効果的に活用できるか」という点だと思います。

つまり、「人が足りない」という課題を、テクノロジーでどうやって補完していくか、ということです。

ただ、日本ではまだまだ「やるべきことは理解しているけれど、実際に何から手をつければいいのかわからない」という企業や人が非常に多いと思っています。

当社にとっては、そういったお客様に対して、「何をすれば良いのか」をわかりやすく整理して提示できる、導き手となる人材を育成することが、今後の重要な課題だと感じています。

こうした領域で活躍するのは、いわゆるITコンサルタントの方々ですが、その人数は近年増加しています。

当社としても、より上流工程に踏み込んでいく必要性を強く感じています。

しかし、エクストリームの本当の強みは、コンサルティングだけにとどまらず、その下流、つまり開発の現場まで一気通貫で対応できることです。

口頭で説明して資料をまとめて終わるのではなく、最終的なシステム導入や成果物の納品、またはその後の運用までを一貫してお任せいただける点こそが、当社ならではの大きな特徴だと思っています。

そう考えると、現在の当社にとっての大きな課題は、上流工程に精通した人材がまだまだ不足している、というところにあります。

今後はそのような領域に強い人材を積極的に採用し、育成していくことが当社にとって喫緊の重要テーマであると捉えています。

注目していただきたいポイント

株主総会などで「現在の株価についてどう考えていますか?」とご質問いただくことがあります。

その際にはいつも、「私たち自身、今の株価に決して満足はしていません」とはっきりお伝えしています。

だからこそ、前期は自社株買いを行い、そのメッセージを市場に伝えました。

市場においては、どうしても企業は売上規模や利益水準に基づいてカテゴライズされ、「この会社はこういう業種です」といった具合に分類されてしまう傾向があります。

特に証券会社の方々にとっては、販売上、そのような分類が必要になることも理解しています。

しかし私は、当社を決して単なる「人材派遣会社」だとは捉えていません。

当社には、多様なサービスを企画し、自らの手で実際に成果物を創り出していこうとする意欲あふれる人材が数多く集まってきています。

そして実際、これまでの売上や利益も、まさにそうした人材が持つ創造力によって積み重ねてきたものです。

当社は創業以来順調に成長を続け2024年3月期に売上高100億円を突破しました。

単純に人材派遣業の視点だけで見れば、非常に好調な数字です。

ただ、それだけをもって当社を「売上100億円規模の人材派遣会社」と括ってしまうと、当社の本質的な可能性を見逃してしまうことになりかねません。

ぜひ株主や投資家の皆さまには、短期的な業績だけでなく、私たちエクストリームが持つ企業としての将来の可能性や成長の余地に注目していただき、長期的な視野で応援していただけたら、とても嬉しく思っています。

私たちが今後どのように成長していくのか、その過程をぜひ楽しみに見ていただければと思います。

投資家の皆様へメッセージ

現時点の当社の売上規模という観点から見れば、ヒューマンリソースの業界ではリクルートさんと比べると規模の差は非常に大きいですし、エンターテインメントソフトウェア業界の中では、カプコンさんやコナミさん、任天堂さんといった企業とは比べものにならないほどの差があります。

ただ、私はいつもこう考えています。

当社は決して単なる「人材派遣会社」でもなければ、「ゲーム会社」でもありません。

私たちエクストリームは、「人の力を核として多彩な事業を展開する総合的な企業」なのです。

人の持つ創造力や可能性を信じ、それを最大限に引き出すことで新しい価値を生み出す、それこそが、私たちの本質であり、また私たちが大切にしている考え方です。

ぜひ、投資家の皆さまには、当社が持つ独自の可能性と将来の成長性を感じ取っていただき、中長期的な視点で温かくご支援いただければ、大変嬉しく思います。

私たちも日々努力を重ね、皆さまのご期待に応えられるように邁進してまいります。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

株式会社エクストリーム

本社所在地:〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-11-1 メトロポリタンプラザビル15階・21階

設立:2005年5月6日

資本金:422百万円(205年3月アクセス時点)

上場市場:東証グロース市場(2014年12月25日上場)

証券コード:6033

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