※本コラムは2025年4月4日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社TalentXは「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」をビジョンに掲げ、採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」の運営を行っています。
代表取締役社長の鈴木 貴史氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
株式会社TalentXを一言で言うと
AI・テクノロジーで市場をゲームチェンジするHRTechカンパニーです。
TalentXの沿革

創業の経緯
私自身、以前は大手の人材会社に勤務し、企業のキャリア採用支援に携わっておりました。そのときに強く感じたのが、従来のキャリア採用手法、具体的に言いますと、人材紹介や求人広告といった方法では、日本社会において本当に必要とされるマッチングが実現しづらいという課題でした。
第三者が間に入って進めるマッチングではなく、「もっと人と人との直接的なつながりを活かした方法でマッチングを実現できないか?」そんな思いからリファラル採用サービス「MyRefer」というサービスを立ち上げました。
これが、当社を創業したそもそもの経緯となります。

「Myシリーズ」の展開
事業を立ち上げた当初は、「MyRefer(マイリファー)」というBtoBのSaaS型ビジネスからスタートし、主に大手企業向けにサービスを提供してまいりました。
おかげさまで現在では、クライアント企業のうち約65%がエンタープライズ企業です。
事業を進めるなかで、リファラル採用のみならず、もっと幅広い採用マーケティングを求める声をいただくようになりました。
そこで、このようなニーズに応えるべく、「MyRefer」に加え、新たに採用MAサービス「MyTalent(マイタレント)」というサービスを展開しました。
「MyTalent」はリファラル採用に限定せず、AIを活用して、転職を潜在的に考えている人材に対してマーケティングを行うサービスです。
さらにその後、自社独自のコンテンツメディアを構築し、マーケティング全体を支援する採用ブランディングサービス「MyBrand(マイブランド)」というサービスへと領域を広げました。
このように「MyRefer」からスタートしたサービスは、採用マーケティングを全方位から支援する「Myシリーズ」として発展し、今に至ります。
ターニングポイントとなった出来事
当社にとって最初の大きなターニングポイントは、「MyRefer」が大手企業にしっかりと受け入れられ、市場にフィットした瞬間でした。
2015年当時の日本では「リファラル採用」という言葉自体がまだ十分浸透しておらず、「縁故採用」という古いイメージが強く残っていました。
企業側も、人材採用を外部サービスに頼りがちで、人事担当者自身が主体的に動きにくい状況でした。
そうした中、私たちが提案したのが、社員一人ひとりを巻き込む「リファラル採用」という新たな仕組みです。当初からリファラル採用の必要性を感じ、積極的に市場と共に進化させてきた結果、当社サービスは企業への価値提供を行うと同時に、他社と比べて大きな優位性をもつことができました。
もう一つの重要な転換点は、プロダクトそのものの進化でした。
もともとは「MyRefer」という単一のサービスからスタートしましたが、現在では、採用マーケティング全体を包括するプラットフォームへと進化しています。
当社が特に大切にしているのは、各サービスをバラバラに提供するのではなく、一つのIDで統合して提供するという点です。
これによって、それぞれのサービス間で相乗効果が生まれ、プロダクトが増えるほど成長が加速していく仕組みになっています。
この相乗効果のおかげで、当社の顧客基盤もより強固なものへと成長しているのです。

TalentXの事業概要と特徴
概要
私たちTalentXは、企業の人材獲得力を高めるための採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」を法人企業向けに展開しています。
SaaS型で提供していますので、導入企業の人事部門が、自社の持っているネットワークを最大限に活かし、採用活動の内製化やDX化を効率よく進められるのが特長です。

「Myシリーズ」は具体的にどのようなサービスか、簡単にご紹介させてください。
まずリファラル採用サービス「MyRefer(マイリファー)」ですが、これは企業の社員一人ひとりがリクルーターとして採用活動に参加できる仕組みを提供するものです。
社員が自らのネットワークを使って候補者を紹介し、採用に繋げることを促進するプラットフォームとなっています。
次の採用MAサービス「MyTalent(マイタレント)」では、過去の応募者や社員のOB・OGなど、今まで企業が十分に活用できていなかったデータをしっかり蓄積して、AIを活用して人材へアプローチできる採用マーケティングを実現しています。
つまり、自社専用のスカウトデータベースを作り、運用までを一貫して自社内で行えるようになっているのです。
さらに採用ブランディングサービス「MyBrand(マイブランド)」というサービスでは、企業が自社の魅力をしっかり発信するための採用サイトやコンテンツを、ノーコードで簡単に構築できるようサポートしています。
採用ブランディングに特化したコンテンツメディアを自社で作成し、さらには従業員に共有して、自社のネットワークを活かしたリファラル採用を促進することができます。

基本的には、私たちが直接お客様とコミュニケーションを取りながらサービスをご提供する直販型のビジネスモデルを採用しています。
そのため、初期導入の段階からカスタマーサクセスに至るまで、きめ細かな支援体制を整えているほか、お客様のご要望に応じてコンサルティングサービスも提供しています。
現在ではIT業界をはじめ、製造業、金融、サービス業、コンサルティング業界など、導入企業は業界を問いません。

事業における優位性
「採用×SaaS」の独自ポジショニングによる安定成長と高い収益性
当社のビジネスの特徴は、「採用×SaaS」という独自のポジショニングによって、安定した成長と高い収益性を実現している点にあります。
従来の人材採用は、外部の採用サービスやエージェントに頼ることが一般的でした。
一方、私たちが提供しているのは、企業が持つ自社内のネットワーク資産を蓄積し、それを活用して採用活動を自社で完結できる仕組みです。
この仕組みの最大の特徴は、使えば使うほど蓄積されたデータや社員同士のつながりが増えていくため、サービス自体の価値が高まっていくことにあります。
その結果、採用サービスという分野では珍しく、非常に低い解約率を維持できています。

人材紹介サービスは通常、「エンジニア専門」や「介護職専門」のように、特定の職種や業界に特化して求職者を集めなければ成り立ちません。
一方、私たちが推進するリファラル採用という仕組みは、紹介する人材のネットワークがそのまま候補者として自然に広がっていきます。
エンジニアであればその友人もエンジニアが多くなりますし、金融業界の営業職の方であれば、その知人も金融業界の方が多くなる傾向があります。
業界ごとに自然と候補者が集まるため、私たちは特定の業種や職種に絞り込むことなく、さまざまな業界の企業に幅広くサービスをご提供できるのです。
これは、当社のサービスが持つ大きな強みだと考えています。
また、人材紹介のようなフロー型のビジネスと比べ、SaaSというサブスクリプション型のビジネスモデルは、安定的で継続的な収益を生み出しやすい特徴があります。
このように、採用領域においてSaaSモデルを取り入れることで、市場の中でも当社ならではのユニークなポジションを確立できていると自負しています。

大手企業をターゲットに強固な顧客基盤を構築
当社は創業当初から、大手企業に受け入れられるプロダクト作りを徹底して進めてきました。
一般的なスタートアップの場合、まずはスタートアップ同士のネットワークを活かしてプロダクトを広め、その後、徐々に大企業へとアプローチするケースが多いと思います。

ただ私たちの場合、一番最初のユーザーは大手企業でした。
大手企業のお客様が導入を検討される際、特に気にされるのはセキュリティや法務面、またシステムとの連携や個別のカスタマイズといった部分です。
当社では、そういった一つひとつのニーズを丁寧に汲み取りながら、きめ細かくプロダクトを作り込んできました。
そのような点が、お客様に選ばれ続けている理由の一つではないかと考えています。
さらにもう一つ、大手企業向けに特化した営業組織の設計にも当社ならではの強みがあります。
一般的なSaaS企業では、中小企業向けの場合、広告宣伝費を積極的に投資し、マーケティングを主体に顧客を獲得する方法が多く取られています。
一方で、大企業向けの営業活動は、各業界のキーパーソンをきちんと把握し、企業ごとの課題に寄り添ったソリューションを提案しながら展開していくというアプローチが欠かせません。
そこで私たちは創業当時から、このマーケティング主導型とソリューション型の営業アプローチを効果的に融合させた、いわばHR版のTHE MODELと呼べる営業体制を構築してきました。
業界ごとの課題に対して的確なソリューションを提供しつつ、成功事例を業界内で横展開することで、着実に顧客基盤を広げてきたのです。
その結果、「Myシリーズ」を導入していただいている企業のうち、およそ65%が大手企業という割合になりました。
特に日本の時価総額トップ50社のうち30%以上が、すでに当社のサービスを利用しているという実績もあります。
これが当社の安定した収益基盤の裏付けです。

マーケティング投資に依存しない成長
当社が展開する採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」は、一般的なコンシューマ向けプロダクトのように多額の広告費を投入することなく、大企業を中心に自然と導入が広がってきました。
実際に導入が決まるまでの平均的なリードタイムを見ても、比較的短期間であることがお分かりいただけると思います。
「大企業相手なのに意外と早いですね」と言われることもありますが、その理由は明確です。
私たちの場合、全く接点のない企業に一からアプローチすることはほとんどなく、日本国内の主要な大手企業約4,000社のうち、半数とはすでに何らかの形で接点を持っています。もちろん、完全に新しい企業とのご縁では、導入まで半年ほどお時間をいただくケースもあります。
ただ、全体として見ると90日程度というリードタイムでご導入いただいています。
これは、先ほども少し触れたように、当社が戦略的に「ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)」を展開しているからこそ実現することができています。
ABMというのは、特定の企業をターゲットに定めて、その企業に合わせたマーケティング活動を集中的に行う手法です。
たとえば、業界トップクラスの大手自動車メーカーに最初の導入を決めていただくと、その後は自然と同じ業界内で口コミや成功事例が広がっていく、という流れが生まれます。
そうした企業同士の横展開があるからこそ、当社は大きなマーケティング投資に依存することなく、着実に成長を続けることができているのです。

ネットワーク効果によるMyシリーズのプラットフォーム価値向上
私たちの事業では、各プロダクトが連携しあうことで生まれるネットワーク効果が非常に大切な要素であり、クロスセル戦略を重要視しています。
その背景には、大きく三つの理由があります。
一つ目は、「Myシリーズ」の各プロダクト間で、非常に強いシナジーが生まれていることです。
各プロダクトが密接に連携することによって、採用マーケティング全体の効果が着実に向上していきます。
二つ目の理由としては、こうしたプロダクト間のシナジーにより、新規顧客の獲得効率が非常に高まっているということです。
当社ではプロダクトを導入したお客様が、そのサービスを実際に利用していく中で「他のプロダクトもぜひ試してみたい」と感じていただけるよう、細部まで体験設計を工夫しています。
そのため、積極的な営業をかけるまでもなく、自然とお問い合わせをいただけるような状況になっています。
結果的に、クロスセルが収益成長を強力に後押ししてくれています。
そして三つ目の理由は、最終的にはやはりこのシナジー効果に集約されます。
プロダクト同士が深くつながり合えば合うほど、それぞれのプロダクト自体の価値が向上し、お客様にとって採用活動の質と効率が飛躍的に高まるのです。
私たち自身も、この好循環を活かすことで企業の採用活動にしっかり貢献しつつ、会社としての収益も着実に伸ばしていくという理想的な経営サイクルを構築しています。

独自性の高いビジネスモデル:ベンチマークとしている企業
ベンチマークというお話になると、営業活動に注目するのか、それとも事業戦略全体を俯瞰するのかで少し見方が変わってくるかもしれません。
ただ私たちとしては、特にBtoB領域のSaaS企業を意識して、いろいろと参考にさせていただいています。
事業戦略という大きな視点から見た場合、BtoBのCRM SaaSなどを展開している企業は示唆に富むと感じています。
例えば、ある企業では、名刺管理という独自の切り口を起点として、そこから従業員や顧客のデータを軸にプロダクトの多角化を進め、広くプラットフォームとして展開されています。
私たちの場合は、「リファラル採用」というテーマを切り口に、従業員のデータやネットワークに着目しながら、そこから採用マーケティングという広がりを作ってきました。
一方、営業面にフォーカスすると、リファラル採用だけでなく、最近注目されているアルムナイ(退職者との関係づくり)やタレントプール(将来的な採用候補者を蓄積する仕組み)といったさまざまな市場が次々と活気づいています。
こうした分野においては、新たに参入するスタートアップもたくさん登場してきていますが、実は当社のように一つのIDでリファラル採用からタレントマーケティング、メディア運用までを一貫して提供し、採用プラットフォームとして展開している企業は、国内ではまだ存在しない状況です。
つまり、営業面でも事業面でも、まったく同じ領域で競合する企業というのは日本国内にはありません。
グローバルに目を向ければ採用マーケティングプラットフォームを展開する企業がいくつかありますが、日本市場においては、私たちがいわば「一丁目一番地」として、このマーケット自体を創り出してきたという自負があります。
今回の上場に至った背景にも、こうした独自のビジネスモデルを確立し、市場をリードしていきたいという思いがあるのです。

TalentXの成長戦略
採用市場に革新をもたらす
当社が現在主軸としているのは、人材採用という市場です。
ただ、そこにとどまらず、最近注目が高まっている「エンゲージメント」、つまり従業員一人ひとりの働きがいや意欲という分野にも積極的にアプローチしています。
具体的にお話しすると、仲介採用市場では約1.5兆円という非常に大きな規模があります。

その中で、私たちが取り組んでいるリファラル採用は、単に採用にかかるコストを削減するためだけの手法ではありません。
今の時代、「人的資本経営」と言われるように、人材を単なるコストではなく、企業にとって重要な資本と捉える考え方が広がっています。
社員自身が「自分の会社を友人や知人に紹介したい」と思えるような魅力的な企業文化づくりが求められているのです。
最近では経営トップの重要課題として、リファラル採用に本気で取り組まれる企業も増えています。
私自身は以前から、従来型の採用活動はどうしてもコストが高くなりがちで、効率性にも課題があると感じてきました。
その非効率で高コストな部分をリファラル採用という仕組みによって置き換え、採用市場そのものを大きく変革していきたいと考えています。
さらに、リファラル採用が持つ価値は、採用だけにとどまりません。
社員が自分の会社に誇りを持ち、積極的に人を紹介したくなるような環境を作ることは、そのまま社員の働きがいやエンゲージメント向上につながっていきます。
つまり、採用活動を通じて企業文化を育て、従業員エンゲージメントという経営課題にも同時に貢献できるのです。
こういった企業の成長そのものに寄与する投資という観点で、私たちの事業をさらに成長させていきたいと考えています。

顧客開拓の手法と見込み
先ほども少し触れましたが、実は私たちはすでに日本国内の大手企業約4,000社の半数と何らかの形で接点を持っています。
そして新規の顧客獲得チャネルに関しても、約80%がプロモーションコストを必要としない自然な流入、つまりオーガニックな形で進んでいます。
具体的には、営業チームやインサイドセールスが自社で保有しているリストに対して継続的にメールマーケティングや情報提供を行い、関係性をじっくりと築きながら顧客獲得へと繋げるアウトバウンドの比率が約35%ほどです。
また、インバウンドも約25%、自社開催イベント経由も約20%を占めており、「リファラル採用といえばMyRefer」と直接名指しでお問い合わせいただくことも増えています。
その背景としては、早くから採用マーケティングを啓蒙する当社が継続的に発信している「リファラル採用のインセンティブ設計メソッド」などのホワイトペーパーの効果が挙げられます。
こうした専門知識やノウハウに触れていただく中で、当社の考え方に共感してくださり、お問い合わせに至るケースも非常に多いのです。
このように、長期的にも安定してお客様と繋がれるような仕組みが整いつつあると感じています。
ただ、現時点で「Myシリーズ」を導入いただいているお客様の約65%が大手企業とはいえ、日本国内には従業員数が数千人規模の企業が約4,000社存在していますから、当社が参入する余地は約95%の余白が残っています。
今後は営業担当やセールス人員をさらに拡充し、まだお付き合いのない企業へのアプローチを本格的に進めていくつもりです。

「Myシリーズ」に磨きをかける
私たちは現在、既存の「MyRefer」「MyTalent」「MyBrand」の三つのサービスに、さらに磨きをかけることに注力しています。
具体的にはAI・自動化の実装を積極的に進めて、採用マーケティングのオートメーション化をさらに強化していく予定です。

また、各プロダクトが連携することで得られる相乗効果を、より一層高めていくことにも力を入れています。
加えて、私たちは国内でもまだ競合の少ない「プラットフォーム型」の採用マーケティングというビジネスモデルを展開しています。
このモデルの競争優位性を最大限に活用しながら、社内で新規事業を立ち上げることはもちろん、外部のプレイヤーとの連携やM&Aにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
当社のプラットフォームに乗ることで、特にHRテック領域など、人材関連のサービスを提供している企業は、相乗効果を生み出すことができるはずです。
私たちは先ほどもお話ししたとおり、ナショナルクライアントを含む多くの大手企業とのネットワークを築いています。
実際、当社のお客様の約65%はエンタープライズ企業です。
こうした大企業と直接の接点を持つことは、規模の小さなHR関連企業にとっては簡単ではありません。
また、HRテック企業以外にも、たとえばコンサルティングファームなどテクノロジー以外の分野でサービスを展開されている企業もあるでしょう。
そうした企業も、私たちのグループに参画することで、これまでとは違ったスケールで事業拡大やグループシナジーを創出できるはずです。
当社は「HRの歴史を塗り替える」という大きなビジョンを掲げています。
この壮大なビジョンを実現していくためには、同じ方向を目指す仲間との連携が欠かせません。
これからも、私たちと同じ志を持ったパートナーと共に、業界に革新を起こしていきたいと思っています。

注目していただきたいポイント
ぜひ注目していただきたいのは、私たちが「安定性」と「成長性」を同時に実現できる、非常にユニークなビジネスモデルを持っているというところです。
おそらくHR領域の企業の中で、売上の94%がサブスクリプション型というビジネスを展開しているところは、ほとんど見当たらないのではないでしょうか。
そのうえ、当社はすでに営業利益もしっかりと計上しており、この安定性と成長性をただの理想やビジョンだけでなく、具体的な数値としてきちんと証明できています。
この点については、投資家の方々やステークホルダーの皆さまにも自信をもってお伝えしているところです。

また、ベンチャー企業やSaaS業界では、スピード重視でシェアを獲得することが重要視されやすいと思います。
しかし、本当にユーザーの皆さまにとって価値があるのは、複数のサービスが統合されて使いやすくなっているということで、使い勝手の良いUXが実現できていることだと私たちは考えています。
SaaSと一口に言っても、日本国内ではすでにタレントマネジメントや経費精算といった、社内の管理業務を効率化するサービスは、かなり成熟した市場になっています。
つまり競争が激しく、いわゆる「レッドオーシャン」と言える状態です。
一方、私たちが取り組んでいるのは、そうした既存の市場とはまったく違う領域、まだ誰も手をつけていないような「ブルーオーシャン」にフォーカスしています。
そして、私たちは将来のニーズから逆算し、新しいインフラを創り出そうとしています。
具体的には、採用マーケティングの領域の中でも「川上」、つまり人材と企業の最初の接点づくりや、採用活動の起点となる部分から市場をつくりにいく、というアプローチです。
今後、日本国内でも雇用の流動性がさらに高まり、「人的資本経営」がますます注目されてくる中で、労働市場そのものが大きく変化していくと予測しています。
こうした未来の環境変化を先読みし、そこから逆算して今の事業モデルを構築しているということも、ぜひ注目していただければと思っています。

投資家の皆様へメッセージ
私たちTalentXは現在、「HRテック分野における採用マーケティング・プラットフォーム」を構築し、この領域で「一丁目一番地」とも言えるようなポジションを確立することを目指しています。
日本企業の採用力、つまり「人材獲得力」を本質的に高めていきたいと思っています。
社会的な観点で考えると、今の日本が直面している大きな課題の一つは、やはり労働人口の減少です。
同時に、日本企業の生産性がなかなか伸びていないことも深刻な課題として挙げられます。
かつて日本は一人当たり名目GDPで世界第2位の経済大国でしたが、現在では38位にまで後退してしまいました。
その原因を辿れば、産業構造の変化や政策の問題、あるいは教育制度といったさまざまな要素が絡み合っているのだと思います。
しかし、私たちが注目しているのは、その中でも「採用」という企業の人材獲得のあり方です。
これまで日本の多くの企業では、人材の採用活動を外部サービスに委託する「依存型」の採用モデルが中心でした。
高度経済成長期の頃のように、新卒を一括で大量に採用し、同質的な人材を育成していけば自然と企業が成長していく、そんなやり方が通用した時代もありましたが、今は全く違う状況になっています。
これからの時代は、人材戦略や採用活動そのものが経営の重要なテーマになり、経営アジェンダのうち少なくとも3割は採用や人材に関する議論が占めるようになっていくはずです。
そして、その採用力というのは、外部に頼るだけでなく、企業自身が「HRリテラシー」や「テクノロジーIQ」「採用IQ」といった自社の能力を高めることで実現するべきだと考えています。
私たちの使命は、企業自身が主体的に採用力を高め、それが結果として日本企業全体の競争力強化や、日本経済そのものの活性化につながるよう支援することです。
この想いに共感していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひ私たちの活動を応援していただけるとうれしく思います。
株式会社TalentX
本社所在地:〒162-0825 東京都新宿区神楽坂4-8 神楽坂プラザビルG階
設立:2018年5月28日
資本金:9億200万4,198円※資本準備金含む(2025年3月18日時点)
上場市場:東証グロース市場(2025年3月18日上場)
証券コード:330A