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【4668】株式会社明光ネットワークジャパン 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2025年4月23日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社明光ネットワークジャパンは『「やればできる」の記憶をつくる』をパーパスに掲げ、教育を軸に様々な事業を展開しています。

代表取締役の岡本 光太郎氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社明光ネットワークジャパンを一言で言うと

幼児からシニアまで、あらゆる”人の可能性をひらく”企業グループです。 

明光ネットワークジャパンの沿革

株式会社明光ネットワークジャパン 代表取締役 岡本 光太郎氏

創業の経緯

当社が誕生したのは、今から41年前の1984年のことです。

創業者である渡邉 弘毅が立ち上げたのが、個別指導形式の学習塾「明光義塾」でした。

当時、塾業界は集団授業が一般的でしたが、明光義塾はそのような状況の中で初めて個別指導という新しいスタイルを取り入れました。

まさに個別指導の先駆けとして、独自の地位を築いてきたと自負しています。

当社は、この個別指導を通じた自立学習を、より多くの方に届けたいという想いから、直営とフランチャイズの両輪で全国展開を進めてまいりました。

その結果、現在では全国に約1,700もの教室を展開し、生徒数はおよそ10万人規模にまで成長しました。

また、日本国内に限らず、韓国や台湾といった海外の国々でも積極的に明光義塾事業を展開しています。

事業の多角化

当社は創業以来、長年にわたり明光義塾を中心とした教育事業を展開してまいりました。

創業から約30年は、全国各地に教室を開設し、おかげさまで順調に成長を遂げることができました。

しかし、その後は全国展開が一巡したことに加えて、少子化の進行や競争環境の激化といった社会的な変化もある中で、この10年ほどは学習塾業界全体の市場成長は横ばいで推移しています。

学習塾業界全体が成長期から成熟期へと移行するなかで、当社も次の成長戦略を本格的に検討する重要な局面を迎えています。

そこで私たちは、明光ネットワークジャパンがこれまで培ってきた強みを最大限に活かしながら、小学校から高校生までを対象とした教育事業以外の領域へ進出することを決断しました。

新しい事業を始めるにあたっては、2つの点を大事にしています。

ひとつは社会課題の解決に繋がること。

二つ目は理念のとおり、人の可能性をひらくことに関わる事業です。

そういった中で、新しい事業領域にも積極的に挑戦しています。

とはいえ、こうしたゼロからの新規事業の立ち上げは、当社にとっても容易なことではありませんでした。

明光義塾事業では、「1を10に、そして10を100にする」といった、既存の事業をスケールアップさせていく展開力を強みにこれまで推進してきました。

しかし、完全に新しい事業を一から創り出す「ゼロイチ」の取り組みでは、多くの試行錯誤が必要でした。

そうした中、ようやく社内から生まれた新規事業も順調に軌道に乗りはじめ、黒字化への道筋が見えてまいりました。

私自身としても、これから当社を支える新しい成長の柱として十分に期待できる状況になってきたと感じています。

このような背景もあり、まさに今が当社にとっての一つの大きなターニングポイント、Transitionであると考えています。

これからも既存事業の深化と新しい事業の探索と成長を推進して参ります。

社長就任の背景と明光義塾のこれから

昨年、2024年11月に創業者の渡邉が経営の第一線を退き、新しい体制に移行しました。

私は2020年に当社へ入社し、専務取締役、取締役副社長を経て、2024年に代表取締役に就任しました。

当社に入社する前は、PEファンドのパートナーを務めていました。さらにその前は経営コンサルティングの株式会社リヴァンプに参画して、リヴァンプの投資先だったクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンの社長を務めていました。

リヴァンプを創業した澤田さんや玉塚さんと一緒に仕事をする機会に恵まれたのは、私にとってとても貴重な体験でした。

澤田さんと玉塚さんがリヴァンプを立ち上げた背景には、「会社を芯から元気にする」という理念とともに、「日本には経営者が枯渇している」という強い危機感があり、日本で若手経営者を育成する、ということを掲げていました。。

日本にはトヨタやユニクロのように、世界に誇れる素晴らしい企業は存在しますが、世界と本気で競争できる日本人のリーダーはまだまだ少ないと感じています。

私自身もアメリカで育った経験から、世界的にみても日本の子どもたちは勉強もできて賢いと実感しています。

一方で、世界の主要国における若者の意識調査によると、日本の若者の自己肯定感が世界でも最低レベルという現実があります。

残念ながら、日本の子どもたちは勉強ができても、自分自身に対してなかなか自信を持てない、チャレンジすることに踏み出せない、という現実があります。

こうした状況の中、明光義塾の教育理念でもある、創造力豊かで、自ら考え、自ら行動できる、自立した子どもたちを育てることこそが、今、日本に必要な教育だと私は信じています。

明光義塾の掲げる「自立学習」という理念に私自身が深く共感したのも、このような理由からです。

この理念を軸として、当社が百年企業を目指せるように、更なる成長に取り組んでいきたいという思いで入社を決意しました。

そして、昨年11月に代表取締役に就任させていただき、その第一歩として中期経営計画を発表しました。

現在はこの計画を一つひとつ着実に遂行しながら、当社の強みを活かした新たな成長への挑戦を進めています。

株式会社明光ネットワークジャパン 2025年8月期-2027年8月期 中期経営計画 より引用

明光ネットワークジャパンの事業概要と特徴

概要

明光ネットワークジャパンは、個別指導塾「明光義塾」の運営を中心に、教育や人材に関わる事業を展開しています。

まず、明光義塾は小学生から高校生を対象に、生徒一人ひとりが主体的に学べるようサポートする「自立学習」を指導の重要な柱としています。

教室の約7割はフランチャイズによる運営です。

近年では、スクラップアンドビルドをしながら、地域の生徒と保護者に選ばれ続ける個別指導塾を目指して、全国規模の教室を維持しています。

また、人材事業では、就職・転職支援サービスの「明光キャリアエージェント」や、外国人雇用支援サービスの「MEIKO GLOBAL」といったサービスを提供しています。

ウェルネス事業においては、児童発達支援および放課後等デイサービス事業に取り組み「ハッピーキッズスペースみんと」を運営しています。

このほかにも、学童保育や次世代型の個別学習塾の運営など、教育を中心に当社の持つ強みを活かせる領域で積極的に事業を展開しています。

株式会社明光ネットワークジャパン 2025年8月期 第2四半期決算説明会資料 より引用

事業における優位性

確立された「明光義塾」ブランド

当社は創業から40年以上にわたり、個別指導塾「明光義塾」を軸として長い歴史を積み重ねてきました。

全国47都道府県すべてに教室を展開している個別指導塾は、明光義塾だけです。

現在、生徒数は約10万人、講師も約3万人にのぼり、規模や展開地域の広さでも全国トップクラスだと自負しています。

生徒数、大学合格者数ともに個別指導塾の中でNo.1の実績があり、多くの保護者や生徒の皆さまから高い評価と信頼を寄せていただいています。

また、全国各地に教室があることで、学びのインフラとして、大切な社会的役割を果たしていると感じています。

地域によって教育機会に格差がある中で、地方の子どもたちにも安心して学んでいただける環境づくりはとても大切なことです。

40年にわたり全国で展開している明光義塾は、高い認知度とブランディングに繋がっています。

多角的な事業ポートフォリオの形成

近年、当社では多角的な事業ポートフォリオを形成するために、さまざまな取り組みを行ってきました。

その中で特に大きな強みだと感じているのは、やはり明光義塾が築いてきた教育事業の基盤の強さです。

当社は小学生から高校生までを対象にした自立学習を通じて、全国的にも広く知られています。

私たちは、この長年にわたり培った実績をさらに活かして、「教育」を起点とした新しい価値を、より多くの世代へ届けられるのではないかと考えています。

今はよく「人生100年時代」と言われていますが、社会人やシニアの方々にとっても、学び直し、いわゆるリスキリングが重要となってきました。

こうした時代の流れを背景に、幼児から社会人、そしてシニアに至るまで幅広い年代の方に、私たちが持っている教育事業の経験や知見を活用して、新しい価値を創造することにチャレンジしています。

既存事業である明光義塾事業をしっかりと軸に置きながら、その強みを活かした新規事業にも積極的に取り組み、グループ全体としての相乗効果も生まれています。

また、多様な事業がグループ内に存在することで、社員自身も成長しています。

実際、現在進めている中期経営計画の中では、「多様な経験を通じて人材を育成する」という方針を掲げています。

一つの事業領域で深く専門性を磨くだけではなく、いろいろな事業や部署を経験することで、視野が広がり、柔軟な考え方が養われていきます。

また、社員一人ひとりの「自立」にもつながり、優れた人材を育てることにも役立っていると実感しています。

経営方針

当社はこれまでも理念を軸に事業を展開して参りました。

私自身も当社の、「パーパス(社会的存在意義)」や「ビジョン(目指す姿)」に沿った経営を心がけています。

あらゆる経営上の重要な判断をする際も、「これは当社の理念と一致しているか?」という点をしっかりと確認しています。

また、社員とのコミュニケーションを取る際にも、このパーパスやビジョンを共通言語として伝えることを意識しています。

毎年、全国を巡回し、社員全員と直接パーパスやビジョンなどについて直接の対話をすることを目的として、「対話会」を開催しています。

その場では会社の理念についてじっくり話し合い、「会社のパーパス」と「個々のマイパーパス」とを重ね合わせて、なぜ、何のために、今ここで仲間と仕事をしているのか、など確かめ合う時間としています。

私は、会社のパーパスと社員個々のパーパスが、少しでも重なり合う、また少しでも繋がりがあることが、仕事においてとても重要だと感じています。

人材の採用でも、会社のパーパスに共感してくれた人材が「自分もこの会社でチャレンジしてみたい」と思い、入社してくれることは、当社の成長の大きな原動力となっています。

理念に基づいて経営を行うという姿勢は、私自身が特に大切にしていることの一つです。

株式会社明光ネットワークジャパン 2025年8月期 第2四半期決算説明会資料 より引用

明光ネットワークジャパンの成長戦略

市場環境と現状の認識

投資家の皆さんの中には、「明光義塾は少子化の影響を受けて大丈夫なのか?」と心配される方もいらっしゃると思います。

実際に、少子化の影響で閉鎖される学習塾が増えていることは事実です。

私が大切に思うことは、「その地域で支持されて、選ばれ続ける存在になること」だと考えています。

そのために大事なことは、質を高めるための人的資本投資と教室への環境投資です。

今後も学習塾としての質を高めながら、地域で支持され続ける塾でありたいと考えます。

株式会社明光ネットワークジャパン 2025年8月期-2027年8月期 中期経営計画 より引用

中期経営計画「MEIKO Transition 2025」

中期経営計画の中で、Business Transition(事業のTransition)として、「ポートフォリオの進化」「顧客層(ターゲット)の拡大」「アライアンス戦略の加速」「グループアライアンスの実現」「安心・安全な環境づくり」という5つの基本方針を掲げています。

株式会社明光ネットワークジャパン 2025年8月期-2027年8月期 中期経営計画 より引用

ポートフォリオの進化

まず主力である明光義塾事業の収益力の改善を重視しています。成功事例の横展開や教室現場の運営効率の見直しによって、事業全体の底上げを図っています。

特に直営教室は、運営効率の見直しや成功事例の徹底によりまだまだ改善の余地があると感じています。

明光義塾事業の運営基盤を安定させることができれば、次は教育事業、人材事業、新規事業というように、事業の幅をさらに拡大していくことができます。

また当社は、「社会課題の解決を新たな事業機会と捉え、その取り組みを通じて社会に貢献し、当社の成長につなげていく」という考え方を大切にしています。

当社がこれまで教育事業で培った経験や知識を活かし、こうした社会課題に対してどのような価値を提供できるのかを考えながら、新しい事業を展開してまいります。

株式会社明光ネットワークジャパン 2025年8月期-2027年8月期 中期経営計画 より引用

アライアンス戦略の推進

当社は、新しい成長の可能性を探る上で、アライアンス戦略を非常に大切にしています。

これまで明光義塾事業の成長を支えてきたのは、教室を新たに開設し、人材を採用し、広告などのマーケティングを展開するという、いわば基本的な成長モデルでした。

これからは当社が既に持っている人材、アセット、運営ノウハウなどの資源を、外部の企業や団体と上手に連携させ、新しい価値を生み出すことが重要だと考えています。

具体的な事例として、私立小学校における学童保育の運営受託があります。

共働き家庭の保護者の皆さまが、放課後の子ども達の過ごし方に不安を感じているという社会的背景があり、その学校に既にあるアセットを有効活用し、当社が明光キッズ事業で培ってきた学童保育の運営ノウハウを提供しています。

また現在、不登校になる子ども達が急増しているという社会課題があり、支援策として、通信制高校やフリースクールと提携し、当社の持つ全国的なアセットやノウハウを活用しながら、新しいサポートのスタイルを模索しています。

株式会社明光ネットワークジャパン 2025年8月期 第2四半期決算説明会資料 より引用

さらに今年6月からは、三井不動産レジデンシャル株式会社が手掛ける新築マンション内での学童保育の運営もスタートします。

当社が学童保育の運営を担当し、都市型マンションで暮らすご家庭に当社が持つ教育ノウハウを提供していく予定です。

最近では、他社から連携についてのお話を多くいただくようになり、当社に対する社会の期待が一層高まっていると実感しています。

株式会社明光ネットワークジャパン 2025年8月期-2027年8月期 中期経営計画 より引用

グループシナジーの強化と人材育成

当社には現在、17社のグループ会社があります。

今後さらにグループ全体の基盤を強固にするために、本部機能の強化や、人材交流の促進に力を入れてまいります。

社員が成長するためには、多様な経験を積むことが大切だと考えており、グループ会社間のジョブローテーションを通じて様々な事業や部署での実務や経験によって、社員一人ひとりの視野を広げ、柔軟な考え方や新しい発想を育成して自己成長につなげて欲しいと願ってています。

そして未来の当社グループを支えるリーダー候補を育成するために「タレントプール」を構築し、当社グループ全体の発展につなげていきます。

グループ各社が連携して、多様な人材交流が活発になれば、当社グループの未来を支えるリーダーが育ち、グループ全体の価値がさらに高まっていくと確信しています。

株式会社明光ネットワークジャパン 2025年8月期-2027年8月期 中期経営計画 より引用

注目していただきたいポイント

ぜひ皆さまに注目していただきたいポイントは、「明光義塾」というブランドが多くの方に深く浸透していることです。

名刺交換の際に、「うちの子どもが通っていますよ」とか「以前、講師をしていました」といった声をかけていただくことがよくあります。

その度に、明光義塾が長い歴史の中で培ってきたブランド力や認知度の高さを感じています。

一方で、会社名である「明光ネットワークジャパン」自体については、まだまだご存じない方が多いというのも事実です。

実際、「明光義塾を運営しているのが明光ネットワークジャパンです」とご説明して初めて理解していただくことも少なくありません。

しかし、当社の取り組みは明光義塾だけではありません。

幼児教育や社会人・シニア向けの教育事業、さらには人材関連事業など、幅広い分野の新規事業にも積極的に挑戦しています。

そして、最近ようやくこうした新規事業が軌道に乗り始め、少子化を見据えた当社の「第二の成長の柱」として形になりつつあります。

また私が社員の皆さんにいつもお願いしているのは、「主体性を持ち、自分ごととして行動してほしい」ということです。

これまで明光義塾は、成功モデルがはっきりとしており、そのモデルをそのまま取り組むことで成長を続けてきたと思います。

ただ、これからの時代には、ゼロから新しい価値を生み出す発想が必要です。

「失敗してはいけない」と感じている社員もおりますがむしろ、「失敗を恐れずどんどん挑戦してほしい」と伝えています。

失敗から学びを得て、そこから一歩ずつ成長していくことが、大切だと考えています。

社会そのものが大きく変化していますから、私たちもその変化に合わせて柔軟に対応していかなければなりません。

「変わり続け、学び続け、成長し続ける」という姿勢こそが、これからの企業に求められると実感しています。

ぜひ、明光義塾が持つ強固なブランドイメージとともに、私たち明光ネットワークジャパンが挑戦を続け、変革を進めていく姿にご注目いただければ幸いです。

投資家の皆様へメッセージ

当社は創業から40年を迎えましたが、ここで立ち止まることなく、次なる目標として「百年企業」を目指していきたいと考えています。

当社は、日本が様々な社会課題に直面している中で、長期的な視点に立ち、明光義塾事業をさらに磨き続けていくことはもちろん、新しい事業領域にも積極的に挑戦していきます。

時代のニーズを見据え、新しい価値を社会に提供していくことこそが、当社の使命であると考えているからです。

また社員一人ひとりが成長できる機会を提供しながら、その挑戦を会社として全力で後押ししていきます。

今の日本に最も必要なのは、本当の意味でのリーダーです。

そして、そのリーダーを育てるためには、子どもの頃の成功体験や「やればできる」という自信が必要です。

今のままでは、日本の未来に危機感を強く感じています。だからこそ、日本をもっと元気にしていきたいのです。

ぜひ投資家の皆様には、元気な日本をつくるために、そして未来を担う子どもたちのために、社会課題の解決に挑戦している当社へのご支援をお願いします。

株式会社明光ネットワークジャパン

本社所在地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿7丁目20番1号 住友不動産西新宿ビル30F

設立:1984年9月21日

資本金:9億7,200万円(2024年8月末時点)

上場市場:東証プライム市場(1997年4月18日上場)

証券コード:4668

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