- 退職金の運用方法を知りたい
- 退職金をできるだけ安全に管理したい
- 退職金を投資に回す割合や相談先を知りたい
退職金の運用で最初に考えるべきなのは、「大きく増やすこと」よりも老後の生活を崩さないことです。
退職金は、老後の生活費・医療費・住まいの修繕費などに使う大切なお金です。一方で、平均寿命の長期化や物価上昇を考えると、すべてを預貯金のまま置いておくだけでは、実質的な購買力が目減りする可能性もあります。
そのため、退職金は「すぐ使うお金」「近い将来使うお金」「当面使わないお金」に分けたうえで、無理のない範囲で運用を検討することが大切です。
結論:退職金運用は、生活費を守りながら少額・分散・長期で進めるのが基本です。投資に慣れていない方は、退職金定期預金、個人向け国債、低コストの投資信託などを組み合わせ、必要に応じて専門家に相談しましょう。
本記事では、退職金運用が必要とされる理由、検討しやすい投資先、金額別のポートフォリオ例、失敗しないための注意点をわかりやすく解説します。
野村證券出身の証券アナリスト(CMA)。アドバイザーナビ代表として、IFA紹介事業で培った中立的な視点から資産運用情報を発信中。
退職金の運用はなぜ必要?4つの理由を解説
退職金の運用が必要とされる主な理由は、以下の4つです。
- 老後は給与収入が減りやすい
- 退職後の生活期間が長くなっている
- 年金の実質的な購買力が目減りする可能性がある
- 物価上昇により預貯金の価値が下がる可能性がある
老後は給与収入が減りやすい
定年退職後は、現役時代のような給与収入がなくなる、または大きく減るケースが一般的です。
収入が年金中心になると、生活費の不足分は預貯金や退職金を取り崩して補うことになります。退職金を計画なく使ってしまうと、医療費や介護費、住宅修繕費などが必要になったときに資金が不足する可能性があります。
そのため、退職金は「使うお金」と「守るお金」と「増やすお金」に分け、無理のない範囲で運用することが重要です。
退職後の生活期間が長くなっている
日本人の平均寿命は長期的に延びており、退職後に必要な資金も増えています。厚生労働省「令和6(2024)年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は以下のとおりです。
| 西暦 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 1955年(昭和30年) | 63.60年 | 67.75年 |
| 2024年(令和6年) | 81.09年 | 87.13年 |
老後資金を考えるときは、0歳時点の平均余命である「平均寿命」だけでなく、60歳時点の平均余命も確認すると実態に近くなります。
同資料では、60歳の平均余命は男性23.63年、女性28.92年です。つまり、60歳で退職した場合、平均的には男性で約24年、女性で約29年の生活資金を考える必要があります。
退職後の期間が長いほど、預貯金の取り崩しだけでは不安が大きくなります。退職金の一部を運用し、資産寿命を延ばす考え方が大切です。
年金の実質的な購買力が目減りする可能性がある
公的年金は老後生活の柱ですが、年金だけで生活費をすべてまかなえるとは限りません。また、物価が上がる局面では、年金額が増えても物価上昇に追いつかず、実質的な購買力が目減りする可能性があります。
厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」によると、令和8年度(2026年度)の年金額の例は以下のとおりです。
| 区分 | 月額 |
|---|---|
| 国民年金(老齢基礎年金の満額・1人分) | 70,608円 |
| 標準的な厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む) | 237,279円 |
同発表では、令和8年度の年金額改定率は、国民年金(基礎年金)が+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が+2.0%とされています。一方で、参考指標として示された物価変動率は+3.2%です。
このように、年金額は名目では増えても、物価上昇率を下回る場合があります。公的年金だけに頼らず、退職金や預貯金を含めた資金計画を立てておきましょう。
物価上昇により預貯金の価値が下がる可能性がある
物価上昇(インフレ)が続くと、同じ金額で買えるものが少なくなります。預貯金の残高は変わらなくても、お金の実質的な価値は下がる可能性があります。
総務省統計局の消費者物価指数によると、2026年4月分の全国消費者物価指数(総合、2020年=100)は113.0で、前年同月比+1.4%でした。また、2025年平均の総合指数は111.9で、前年比+3.2%でした。
一方、日本銀行の統計(預金種類別店頭表示金利の平均、月次)では、2026年5月時点の普通預金は年0.254%、1年定期預金(預入金額1,000万円以上)は年0.378%です。
預金金利は上昇傾向にあるものの、物価上昇率を下回る場合は、預金だけでは実質的な購買力を守りにくくなります。退職金のすべてを投資する必要はありませんが、一部を投資信託や債券などに分散することで、インフレ対策を検討できます。
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退職金運用の投資先7つを比較
退職金の運用先として検討しやすい代表的な選択肢は、以下の7つです。
| 運用先 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 退職金定期預金 | 元本の値動きがなく、一定期間は金利優遇を受けられる場合がある | 優遇期間が短いことが多い 預金保険の保護範囲も確認が必要 |
| 個人向け国債・国内債券 | 比較的安全性を重視しやすく、預金以外の守りの資産として検討できる | 中途換金の条件や利率変更、発行体の信用リスクを確認する |
| 貯蓄型保険 | 保障と貯蓄機能を組み合わせられる | 早期解約で元本割れしやすく、手数料や為替リスクがある商品もある |
| 投資信託 | 少額から分散投資しやすく、NISAとも相性がよい | 元本保証ではなく、信託報酬などのコストがかかる |
| 外国債券 | 国内より高い利回りを期待できる場合がある | 為替リスク、金利変動リスク、信用リスクがある |
| 株式投資 | 配当金・株主優待・値上がり益を期待できる | 値動きが大きく、個別企業の分析が必要 |
| 不動産投資 | 家賃収入や売却益を期待できる | 空室・修繕・借入・流動性のリスクが大きい |
どの運用先にもメリットとリスクがあります。退職金は老後生活を支える資金のため、リスクを取りすぎず、複数の方法を組み合わせることが大切です。
退職金定期預金
退職金定期預金は、退職金を受け取った方を対象に、一定期間だけ金利を優遇する金融機関のサービスです。価格変動がないため、投資に不安がある方でも利用しやすい点が特徴です。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 元本の値動きがない 普通預金より高い金利を受けられる場合がある 普段利用している銀行で始めやすい | 高金利の期間が短いことが多い 中途解約すると適用金利が下がる場合がある 投資信託などとのセット商品になっている場合がある |
ただし、定期預金や利息の付く普通預金などは、1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が預金保険制度で保護されます。1つの金融機関に1,000万円を超えて預ける場合は、保護範囲を確認しましょう。
退職金定期預金は、運用先を決めるまでの一時的な置き場所としても活用しやすい選択肢です。
なお、退職金運用におすすめの銀行定期預金を紹介した記事もありますので、あわせてご覧ください。
個人向け国債・国内債券
安全性を重視したい方は、個人向け国債や国内債券も検討できます。特に個人向け国債は、銀行預金以外の「守りの資産」として候補に入れやすい商品です。
財務省が公表した2026年6月募集分の個人向け国債では、変動10年(第195回債)の初回利子の適用利率は年1.74%でした。変動10年は半年ごとに適用利率が見直され、発行から1年経過後は中途換金が可能です(直前2回分の各利子相当額に応じた中途換金調整額あり)。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 比較的安全性を重視しやすい 変動10年は金利上昇局面に対応しやすい 満期まで保有すれば額面で償還される | 購入後1年間は原則中途換金できない 中途換金時に調整額が差し引かれる 債券の種類によっては価格変動リスクや信用リスクがある |
退職金をすべて投資信託や株式に回すのが不安な方は、預金と個人向け国債を組み合わせることで、資産全体の値動きを抑えやすくなります。
貯蓄型保険
貯蓄型保険は、保険の保障機能と貯蓄性を組み合わせた商品です。万が一の保障を準備しながら、解約返戻金や満期保険金を受け取れる場合があります。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 保障と貯蓄を同時に準備できる 相続対策として活用できる場合がある | 早期解約すると元本割れしやすい 保険料が掛け捨て型より高くなりやすい 外貨建て保険は為替リスクがある |
退職金で貯蓄型保険を利用する場合は、「増やす目的」だけでなく、保障や相続の目的も含めて検討しましょう。商品内容や手数料、解約返戻金の推移をよく確認することが大切です。
投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を、運用会社が株式・債券・不動産などに分散投資する商品です。
1つの商品で複数の銘柄や地域に投資できるため、個別株を自分で選ぶよりも分散投資しやすい点が特徴です。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 少額から分散投資できる 投資初心者でも始めやすい NISAを活用すれば運用益が非課税になる | 元本保証ではない 信託報酬などのコストがかかる 商品数が多く選択に迷いやすい |
退職金運用で投資信託を選ぶ場合は、低コストで広く分散されたインデックスファンドを候補に入れるとよいでしょう。商品名だけで選ぶのではなく、連動する指数、信託報酬、純資産総額、分配方針、NISA対象かどうかを確認してください。
外国債券
外国債券は、外国の政府や企業などが発行する債券です。国内債券より高い利回りを期待できる場合がありますが、為替リスクがある点に注意が必要です。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 国内債券より高い利回りを期待できる場合がある 通貨分散になる 株式とは異なる値動きをする場合がある | 為替変動で損失が出る可能性がある 発行体の信用リスクがある 金利上昇時に債券価格が下がる場合がある |
外国債券は利回りだけを見ると魅力的に見えることがありますが、円高になると為替差損が出る可能性があります。退職金運用では、外貨建て資産に偏りすぎないようにしましょう。
株式投資
株式投資は、企業の株式を購入し、配当金や株主優待、値上がり益を期待する投資方法です。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 配当金を受け取れる場合がある 株価上昇による値上がり益を期待できる 株主優待を楽しめる場合がある | 元本割れリスクが大きい 減配や無配になる可能性がある 企業分析や分散投資の知識が必要 |
配当利回りが高い銘柄でも、株価下落や減配で損失が出る可能性があります。退職金で個別株を購入する場合は、業種・地域・銘柄を分散し、投資額を抑えることが大切です。
※個別銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断は、企業の財務状況、配当方針、事業リスク、手数料、税制などを確認したうえで行ってください。
不動産投資
不動産投資は、マンションやアパートなどを購入し、家賃収入や売却益を期待する投資方法です。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 家賃収入を期待できる 売却益を得られる場合がある インフレ対策になる場合がある | 空室・修繕・災害リスクがある 売りたいときにすぐ売れない場合がある 借入を使うと返済リスクが高まる |
不動産投資は必要資金が大きく、退職金だけでは足りず借入が必要になるケースもあります。投資経験が少ない方が退職金で不動産投資を始める場合は、特に慎重な判断が必要です。
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退職金運用におすすめのポートフォリオ例
退職金の運用割合に正解はありません。大切なのは、退職金の金額だけで決めず、今後の生活費、年金額、住宅ローン、医療費、家族構成、投資経験に合わせて考えることです。
まずは、退職金を以下の3つに分けて考えましょう。
- 生活費としてすぐ使うお金
- 数年以内に使う予定があるお金
- 10年以上使う予定がない余裕資金
投資に回すのは、原則として3の「当面使う予定がない余裕資金」です。以下では、退職金の金額別にポートフォリオ例を紹介します。
※以下は一般的な例であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。実際の配分は、生活費・年金額・リスク許容度・税制・手数料を踏まえて検討してください。
退職金1,000万円・安全重視の例
退職金1,000万円の運用の場合は、安全性を重視し、投資額を抑えるのが基本です。
投資経験が少ない方は、まず預金や個人向け国債を中心にし、投資信託は少額から始めるとよいでしょう。
| 金融商品 | 金額 | 目的 |
|---|---|---|
| 退職金定期預金・普通預金 | 500万円 | 生活費・予備資金を守る |
| 個人向け国債・国内債券 | 300万円 | 比較的安定した資産として保有 |
| 投資信託 | 200万円 | 長期のインフレ対策を狙う |
投資信託200万円を一度に購入すると、相場下落時に不安が大きくなります。たとえば毎月5万円ずつ積み立てるなど、購入時期を分散する方法も検討しましょう。
退職金2,000万円・バランス重視の例
退職金2,000万円の運用の場合は、安全資産を厚めに残しながら、投資信託で長期運用を検討しやすくなります。
| 金融商品 | 金額 | 目的 |
|---|---|---|
| 退職金定期預金・普通預金 | 800万円 | 生活費・医療費・予備資金 |
| 個人向け国債・国内債券 | 500万円 | 守りの資産として保有 |
| 投資信託 | 700万円 | NISAを活用しながら長期運用 |
NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を合わせて最大360万円です。投資信託700万円を運用に回す場合でも、2年程度に分けて購入すると時間分散をしやすくなります。
参考として、元本700万円を年率4%で20年間複利運用できた場合、20年後は約1,534万円です。ただし、これは税金・手数料を考慮しない試算であり、実際の運用成果を保証するものではありません。
退職金3,000万円・リターン重視の例
退職金3,000万円の運用で、預貯金や年金にある程度余裕がある場合は、NISAを活用しながら投資信託や株式を組み入れる選択肢があります。
| 金融商品 | 金額 | 目的 |
|---|---|---|
| 退職金定期預金・普通預金 | 900万円 | 生活費・予備資金を確保 |
| 個人向け国債・国内債券 | 600万円 | 守りの資産として保有 |
| 投資信託 | 1,200万円 | 長期成長を狙う中心資産 |
| 配当を目的とした株式など | 300万円 | 配当収入を狙うサテライト資産 |
NISAの非課税保有限度額は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。年間投資枠は最大360万円のため、1,500万円をNISAで投資する場合は、少なくとも5年程度かけて積み立てる形になります。
配当を目的とした株式は、配当利回りだけでなく、業績、財務状況、配当方針、減配リスクを確認しましょう。退職金運用では、個別株に偏りすぎず、投資信託を中心にする方がリスクを抑えやすくなります。
投資信託を選ぶ際は、以下のような観点で比較しましょう。
- 全世界株式や米国株式など、投資対象が広く分散されているか
- 信託報酬などのコストが低いか
- 純資産総額が十分にあるか
- 毎月分配型など、退職金運用に不向きな仕組みではないか
- NISAの対象商品かどうか
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退職金運用によくある失敗談
退職金は老後生活を支える大切な資金です。資産運用を始める前に、退職金運用でよくある失敗例を確認しておきましょう。
- 退職金のほとんどを一度に投資してしまう
- 知識なしにハイリスク商品へ投資してしまう
- 他人に投資判断を丸投げしてしまう
- 詐欺的な投資話を信じてしまう
- 預貯金だけで放置してインフレに備えない
退職金のほとんどを一度に投資してしまう
退職金を受け取ると、まとまった資金で一気に増やしたいと考える方もいます。しかし、まとまったお金を一度に投資すると、相場下落時に大きな損失を抱える可能性があります。
退職金運用では、生活費や予備資金を確保したうえで、投資額と購入時期を分散しましょう。
知識なしにハイリスク商品へ投資してしまう
FX、暗号資産、信用取引、レバレッジ型投資信託などは、値動きが大きく、短期間で大きな損失が出る可能性があります。
仕組みを理解しないまま高いリターンだけを期待して投資するのは危険です。退職金運用では、理解できない商品には投資しないことを徹底しましょう。
他人に投資判断を丸投げしてしまう
金融機関の担当者、知人、SNS、セミナーなどで勧められた商品を、内容を理解しないまま購入してしまうケースもあります。
専門家に相談すること自体は有効ですが、最終的な判断は自分で行う必要があります。提案を受けたら、少なくとも以下を確認しましょう。
- 何に投資している商品か
- 元本割れの可能性はどの程度あるか
- 購入時・保有中・解約時の手数料はいくらか
- なぜ自分に合っていると説明されているのか
詐欺的な投資話を信じてしまう
「必ず儲かる」「元本保証」「あなただけに紹介」などの言葉を使う投資話には注意が必要です。
警察庁の公表によると、令和8年4月末時点の特殊詐欺の被害額は1,260.0億円で、このうちSNS型投資詐欺の被害額は592.5億円でした。これは特殊詐欺全体の約47%にあたります。
SNSや広告で見た投資話に退職金を入れるのは危険です。少しでも不安を感じたら、家族や公的相談窓口、金融機関ではない第三者に確認しましょう。
預貯金だけで放置してインフレに備えない
預貯金は安全性が高い一方で、物価上昇には弱い面があります。預金金利より物価上昇率が高い状態が続くと、実質的な購買力は下がります。
退職金の全額を投資する必要はありませんが、余裕資金の一部を投資信託や債券などに分散することで、インフレへの備えを検討できます。
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退職金運用に失敗しないためのコツ
退職金運用で失敗しないためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 退職金の用途を先に決める
- 一括投資を避けて時間を分散する
- 長期投資を前提にする
- 資産・地域・通貨を分散する
- 手数料と税金を確認する
- 出口戦略を考える
退職金の用途を先に決める
退職金を受け取ったら、まず使い道を整理しましょう。生活費、住宅修繕費、医療費、介護費、旅行や趣味の資金など、使う予定があるお金は投資に回さないことが大切です。
特に、数年以内に使う予定があるお金は、預金や個人向け国債など安全性を重視した管理が向いています。
一括投資を避けて時間を分散する
まとまった退職金を一度に投資すると、購入直後に相場が下落した場合の心理的負担が大きくなります。
投資信託を購入する場合は、毎月一定額を積み立てるなど、時間を分散して投資すると高値づかみのリスクを抑えやすくなります。
長期投資を前提にする
退職金運用は、短期間で大きく増やすことを目的にするのではなく、長期で資産を守りながら育てる考え方が基本です。
ただし、長期投資でも必ず利益が出るわけではありません。生活費に必要なお金は投資に回さず、値動きに耐えられる範囲で運用しましょう。
資産・地域・通貨を分散する
分散投資は、退職金運用のリスクを下げるために重要です。株式だけ、預金だけ、外貨だけのように偏ると、特定の環境変化で資産全体に大きな影響が出る可能性があります。
預金、個人向け国債、投資信託、債券、株式などを組み合わせ、資産全体のバランスを意識しましょう。
手数料と税金を確認する
投資信託や保険、外貨建て商品などは、購入時・保有中・解約時に手数料がかかる場合があります。手数料が高い商品は、運用成果が出ても実質的なリターンが小さくなることがあります。
また、通常は上場株式等の配当等や譲渡益に20.315%の税金がかかります。NISA口座を活用すれば、制度の範囲内で配当等や譲渡益が非課税になります。
出口戦略を考える
出口戦略とは、運用した資産をいつ、どのように現金化するかを考えることです。
- 毎月または毎年、必要な分だけ取り崩す
- 相場が大きく下がったときは安全資産から使う
- 医療費や介護費に備えて一定額は現金で残す
退職金運用では、増やす計画だけでなく、使う計画まで考えておくことが大切です。
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退職金運用に迷ったら「IFAに相談」も選択肢
退職金の運用に不安がある方は、資産運用の専門家に相談するのも有効です。
特に、投資経験が少ない方が退職金を運用する場合、どの程度リスクを取れるのか、NISAをどう使うのか、生活費をいくら残すべきかを一人で判断するのは難しいことがあります。
相談先のひとつに、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)があります。日本証券業協会では、金融商品仲介業者を「金融商品取引業者(証券会社)または登録金融機関(銀行等)の委託を受けて、有価証券の売買の媒介などを行う者」と説明しています。
IFAは、特定の金融機関の社員ではない立場で相談できる場合がありますが、提携先、取扱商品、報酬体系、手数料はIFAごとに異なります。「無料相談」と書かれていても、商品購入時や保有中に手数料が発生する場合があります。
IFAに相談する際は、以下を確認しましょう。
- 金融商品仲介業者として登録されているか
- 相談料・販売手数料・信託報酬・解約費用はいくらか
- 提案できる金融商品の範囲はどこまでか
- 自分の年金額・生活費・リスク許容度を踏まえた提案か
- リスクやデメリットも説明してくれるか
退職金運用は一度きりの大きな判断になりやすいため、複数の相談先を比較し、納得できる説明を受けてから進めましょう。
退職金運用は「守りながら育てる」ことが大切
退職金は、老後生活を支える大切な資金です。大きく増やすことだけを考えるのではなく、生活費を守りながら、無理のない範囲で運用することが重要です。
まずは、退職金を「すぐ使うお金」「近い将来使うお金」「当面使わないお金」に分けましょう。そのうえで、預金、個人向け国債、投資信託などを組み合わせ、リスクを取りすぎないポートフォリオを作ることが大切です。
退職金運用に迷う場合は、IFAなどの専門家に相談しながら、自分の生活設計に合った方法を選びましょう。
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退職金運用に関するQ&A
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出典
厚生労働省「令和6(2024)年簡易生命表の概況」
厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」(公開日:2026年1月23日)
総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年4月分」(公開日:2026年5月22日)
総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年平均」(公開日:2026年1月23日)
日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等(月次)」(更新日:2026年6月5日)
財務省「個人向け国債の発行条件等」(公開日:2026年6月3日)
金融庁「NISAを知る:NISA特設ウェブサイト」
国税庁「株式・配当・利子と税」
金融庁「預金保険制度」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」
警察庁「特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」

