70代の資産運用はどうする?お金の仕分け方・取り崩しの目安・避けたい商品まで解説

70代の資産運用は、「増やすため」ではなく「守りながら、必要なお金をきちんと使うため」に行うのが基本です。年金と貯蓄で生活できているなら、無理に投資をする必要はありません。毎月赤字で貯蓄を取り崩しているなら、投資の前に「何年もつか」の確認が必要です。どちらの人も、最初の一歩は同じ。通帳を集めて、お金を3つに分けることです。

この記事の結論(あなたはどっち?)
  • 年金+貯蓄で暮らせる人 → 運用は不要。預金と個人向け国債で十分
  • 毎月赤字の人 → 投資の前に「貯蓄が何年もつか」を計算
  • 全員共通の第一歩 → 通帳を集めて、お金を3つに分ける

この仕分けから先の手順は、70代ご本人はもちろん、「親のお金が心配」で調べているお子さん世代が、親と一緒に進める場合にもそのまま使えます。

この記事の監修者
平 行秀 編集統括 / 証券アナリスト(CMA)

野村證券出身の証券アナリスト(CMA)。アドバイザーナビ代表として、IFA紹介事業で培った中立的な視点から資産運用情報を発信中。

目次

70代の資産運用が現役世代と違う3つの前提(回復力・年金収支・判断力)

「70代から運用なんて遅い」とよく言われますが、遅いかどうかは時間の問題ではありません。厚生労働省の令和6年簡易生命表によると、70歳の平均余命は男性15.60年、女性19.97年。令和6年の死亡状況が今後変化しないと仮定した生命表上では、70歳女性の約54.6%が90歳まで生存する計算です(70歳と90歳の生存数から算出)。つまり、平均余命で見れば、男性は約16年、女性は約20年、お金と付き合う期間があります。期間だけ見れば、長期運用が成り立つ長さです。

では現役世代と何が違うのか。決定的なのは「減ったお金を収入で取り戻す力が、現役時代より小さくなりやすい」ことです。給与収入のある現役世代なら相場が3割下がっても給料で回復を待てますが、70代は下がった資産から生活費を取り崩すことになりやすい。運用期間は長いのに、失敗をやり直す力は小さい。これが1つ目の、そして最大の前提です。

2つ目の前提は、収入の形です。総務省の家計調査(2025年平均)では、65歳以上の夫婦のみ無職世帯は実収入が月約25.4万円(うち社会保障給付約22.9万円)に対して、消費支出と非消費支出の合計が月約29.7万円で、月約4.2万円の不足です。ただし、これはあくまで平均値です。持ち家か賃貸か、年金がいくらかで全然違うので、平均は参考程度にして、「わが家の不足額(または余り)はいくらか」を1つの数字にしてください。この数字が出ていないと、この先の判断はすべて仮置きのままになります。

3つ目は判断力です。日本証券業協会のガイドラインは、75歳以上を目安とする顧客に、価格変動が比較的大きい、仕組みが複雑、換金性が低いなどの「勧誘留意商品」を勧誘する場合、役席者の事前承認を求め、80歳以上を目安とする顧客には、勧誘当日の受注を原則行わないなど、さらに慎重な手続きを示しています。加齢とともに複雑な商品の判断が難しくなる場合があるためです。だからこそ、自分の運用は「シンプルで、家族に説明できる形」にしておく必要があります。

70代が最初にやる資金の仕分け:生活費・5年以内の支出・余裕資金

商品を選ぶ前に、お金を3つに分けます。正直に言えば、30分で終わる作業ではありません。通帳や保険証券を家中から探すだけで週末が1回つぶれることもあります。それでかまいません。初日は「通帳と保険証券をテーブルに集める」だけ、書き出しと計算は翌日以降、と2〜3日に分けて進めてください。お子さんやご家族がいるなら、帰省のタイミングで一緒にやるのがいちばん確実です。

STEP
生活費と予備のお金を確保する

年金で足りない生活費の1〜2年分に加えて、医療・介護・住まいの修繕に備える予備費を取り分けます。介護費用の参考として、生命保険文化センターの2024年度調査(2人以上世帯)のうち、過去3年間に介護経験がある人の回答では、一時費用の平均47.2万円、月額費用の平均9.0万円、介護期間の平均55.0か月でした。3つの平均値を単純に組み合わせると約542万円ですが、月額の平均と期間の平均を掛けた概算であり、1人あたりの平均総額を示すものではありません。この枠のお金は普通預金・定期預金に置き、運用には回しません。

STEP
5年以内に使う予定のお金を書き出す

家のリフォーム、車の買い替え、子や孫への援助、旅行など、時期と金額が見えている支出を年ごとに書き出します。使う時期が決まっているお金は値下がりリスクを取れないため、預金か個人向け国債に置きます。

STEP
残りが「余裕資金」。運用してよいのはこの一部だけ

①②を引いた残りが余裕資金です。ただし全額を運用してよいわけではありません。投資が初めてだと「値下がりに耐えられる金額」の想像は難しいので、客観的なルールを1つ作ります。投資信託に入れるお金は「最悪半分になっても、孫へのお小遣いや趣味を数年がまんすれば済む金額」まで。半分になったとき生活費や介護の予備費に1円でも食い込むなら、その金額は大きすぎます。

貯蓄1,800万円の夫婦なら、仕分けの結果はたとえば次のようになります。数字はご自身のものに置き換えてください。

仕分け記入例(貯蓄1,800万円の夫婦)
① 生活費+予備費700万円(不足分2年+介護予備)→ 預金
② 5年以内に使う300万円(屋根の修繕・車)→ 預金・国債
③ 余裕資金800万円 → うち投資に回すのは200万円まで
仕分けの記入例(説明用のモデルで、推奨配分ではありません)

①②を先に確保すると、③に残る金額は、始める前の想像より小さくなります。小さく出ることは失敗ではなく、正しい発見です。運用は残った枠の中だけで考えれば、相場が荒れても生活は守られます。

預金・個人向け国債・投資信託を手取り利回りで比べる

仕分けた3つの枠には、それぞれ向いた置き場所があります。2026年は金利が戻ってきており、リスクを取らなくても利息が付く選択肢が増えました。次の表の利回りは、すべて税金を引いた「手取り」の目安でそろえています。

置き場所こんなお金向け元本手取り利回りの目安
普通預金今すぐ使う・予備のお金利息の付く普通預金は、預金者1人あたり1金融機関ごとに元本1,000万円までと利息等を保護ごくわずか
個人向け国債1年以上使わない予定のお金
(守りの中心候補)
国が支払いに責任を持つ年1.4〜1.5%台
投資信託(分散型)10年単位で使わないお金の一部元本割れあり決まっていない(上下する)
70代の主な資金の置き場所。個人向け国債は2026年7月募集分(変動10年・年1.80%、固定5年・年1.95%、いずれも税引前)を手取りに換算した目安で、利率は募集月ごとに変わります

基本の対応はシンプルです。①生活費・予備費は普通預金、②5年以内に使うお金は定期預金や個人向け国債、③余裕資金の一部だけ投資信託。個人向け国債は1万円から買えて、発行から1年たてば途中で換金でき、そのときも元本は減りません(受け取った利子の一部を返す仕組みがあるだけです)。逆に言うと最初の1年は原則換金できないので、急に使うかもしれないお金の置き場所ではありません。

投資信託は、分散されたタイプでも元本保証はなく、買った直後に値下がりすることがあります。「分散しているから安全」ではなく、「分散していても下がるが、特定の会社の倒産で全額を失う形にはなりにくい」が正確な理解です。

新NISAは70代でも使える。目的は「増やす」ではなく「非課税で取り崩す」

NISAに年齢の上限はありません。日本国内に住む、利用する年の1月1日時点で18歳以上の人が利用できます。2024年からの制度は非課税保有期間が無期限で、売却した商品の簿価(取得金額)分の非課税保有限度額は翌年以降に再利用できます。この設計は「保有しながら少しずつ売って使う」使い方と相性がよく、70代の取り崩しにも向いています。運用益に通常かかる約20%の税金がゼロになるため、同じ利回りでも手取りが増えます。

新NISAの基本(2026年7月時点)
  • 年間の投資枠:最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)
  • 非課税保有限度額(総枠):1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
  • 非課税期間:無期限
  • 売却商品の簿価分の非課税保有限度額は翌年以降に再利用(年間投資枠の範囲内)
  • 日本国内に住む、利用年の1月1日時点で18歳以上(年齢上限なし)

使い方の基本は、余裕資金のうち運用に回すと決めた金額をNISA口座で分散型の投資信託に置き、必要になったら必要な分だけ売る形です。年間360万円という枠は「使い切る目標」ではありません。上限を決めるのは制度の枠ではなく、仕分けで出した「半分になっても困らない金額」です。

【重要】親のNISA口座は、子どもに引き継げません

NISA口座の持ち主が亡くなると、非課税の扱いはそこで終わります。資産は相続人のNISAには入れられず、手続きを経て特定口座または一般口座へ移ります。相続人の取得日は相続発生日、取得価額はその日の時価となります。つまり、NISA口座のまま子どもに引き継げる制度ではありません。

70歳から1,500万円を月5万円取り崩すと、資産寿命は何年か

運用の効果は「いくら増えるか」より「資産が何年もつか」で見るほうが、70代の実感に合います。余裕資金1,500万円から毎月5万円を取り崩したときの資産寿命は、運用のシナリオごとに次のように変わります。

運用のシナリオ資産がなくなるまで70歳開始なら
運用しない(0%)25.0年95歳ごろまで
毎年1.4%で一定
(個人向け国債の手取りをイメージ)
約31年101歳ごろまで
毎年3.0%で一定
(分散投資が順調に続いた場合)
約46年116歳ごろまで
開始時に30%下落、その後は毎年3.0%約25年95歳ごろまで
1,500万円から毎月末に5万円を取り崩す試算。表の利回りを税引き・費用控除後の年率と仮定して月次換算し、30%下落は開始時に反映。物価上昇は考慮していません(本記事の試算)

この表で最初に効いているのは、利回りではなく取り崩し額です。運用ゼロでも25.0年もち、70歳から95歳ごろまで取り崩せます。この取り崩し額なら、運用しない設計も選択肢になります。年1.4%の利回りが続く仮定では資産寿命が約6年延び、国債の利息も取り崩しを支えます。

問題は、いちばん下の行です。「3%なら約46年もつ」という数字だけを覚えて帰らないでください。同じ「その後は年3%」でも、始めた直後に30%の下落が来ると約25年。運用しなかった場合とほぼ変わりません。安くなった資産を売って生活費に充てるため、相場が回復しても資産残高の回復が遅れるからです。取り崩し期の結果は、平均利回りだけでなく「下がる時期」にも左右されます。

この行だけを見ると、投資する意味がないように見えます。ただ、結論は逆です。この影響を抑える方法の一つは、向こう3年分(できれば5年分)の取り崩し資金を預金・個人向け国債で持ち、下落中の投資部分の売却を減らすことです。相場が下がっている間は預金側から生活費を出し、投資部分を売らずに待てる時間をつくる。このクッションは、下落時の安値売りを減らす助けになります。資金の仕分けは、この防波堤を作る作業でもあります。

年金額と貯蓄額で変わる70代の判断:3つのモデルケース

同じ70代でも、年金額と貯蓄額の組み合わせで結論は変わります。3つのモデルケース(いずれも説明用の仮例で、実在の相談事例ではありません)から、自分に近いものを選んでください。

【安心型】年金でほぼ暮らせて貯蓄2,000万円:無理に運用しない選択も正解

夫婦・年金月23万円・生活費月26万円なら不足は月3万円ほど。2,000万円は、運用益や物価上昇を考慮しない単純計算で50年以上もちます。この単純計算では、資産寿命に余裕があります。運用は必須ではなく、「物価上昇による預金の目減りを緩和したい」「使い切れない分を少し育てたい」という動機があるときだけ、余裕資金の2〜3割程度をNISAで分散投資する控えめな形が合います。何もしないことも立派な選択です。

【注意型】年金月12万円・貯蓄1,200万円で毎月5万円の赤字:投資より支出点検と個人向け国債

単身女性72歳、年金は月12万円、生活費は月17万円というケースです。1,200万円は、運用益や物価上昇を考慮しない単純計算で20年、92歳ごろまでもちますが、90歳以降まで見通すと、余裕十分とは言えません。ここで焦って高い利回りを狙い、大きな値下がりリスクを取ると、逆効果になり得ます。開始時に資産が2割減れば、その後の運用成績によっては資産寿命を縮めかねません。先にやるべきは支出の点検、就労収入や自治体の高齢者支援の確認など、確実に効く手当て。運用するとしても個人向け国債で利息を受け取りながら守る程度にとどめ、値動きの大きい商品は避けるのが安全側の判断です。

【資産多め型】貯蓄5,000万円+相続予定あり:増やすより口座整理と承継が主題

資産が大きい場合、増やす必要性はさらに下がり、代わりに「口座が多すぎて把握できない」「どちらかが判断できなくなったら動かせない」「相続でもめる」というリスクが主役になります。運用は一部をNISAや国債でシンプルに保ちつつ、口座の統廃合、資産一覧の作成、家族との共有、必要に応じて税理士・司法書士への相談を優先します。複雑な商品を増やすことは、この年代では資産を守る方向と逆に働きがちです。

避けたい商品(毎月分配型・仕組債・退職金の一括投資)と、高齢者を狙う詐欺の「殺し文句」

70代の資産が減る原因は、相場の下落だけではありません。「仕組みを理解しないまま買った商品」や「詐欺」でも、取り返しがつかない形で資産が減ることがあります。とくに次の3つは、買う前に一度立ち止まってください。

  • 毎月分配型の投資信託:分配金の一部が自分の元本の払い戻しになっている場合があります。「毎月もらえる=儲かっている」ではありません
  • 仕組みが説明できない商品(仕組債、レバレッジ型、複雑な外貨建て保険など):家族に説明できない商品は、判断力が落ちたとき誰も管理できません
  • 退職金・相続金の一括投資:まとまったお金が入った直後は提案も増えます。全額を一度に値動きのある商品へ移さず、まず1年は預金で寝かせて考える選択肢を持ってください

詐欺は他人事ではありません。警察庁の2025年確定値では、特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は合計で年3,000億円を超え、警察官をかたる「ニセ警察詐欺」の被害額は70代が全年代で最多でした。統計より役に立つのは、実際に使われる言葉を知っておくことです。次のセリフが1つでも出たら、詐欺・悪質勧誘を疑い、その場で判断せず切り上げてください。

この言葉が出たら詐欺・悪質勧誘を疑う
  • 「元本保証で年利5%は確実です」(「必ず儲かる」「元本保証」とうたう投資勧誘は要注意です)
  • 「AIが自動で運用するので知識は不要です」
  • 「未公開株・特別な債券を、あなただけにご案内します」
  • 「息子さん・娘さんには内緒で進めましょう」
  • 「今日中に決めないと損をします」

対処法はシンプルです。電話・SNS・訪問でお金の話が出たら、その場では決めずに「家族に相談してから」と言って切る。警察官や銀行協会の職員等を名乗る相手に、電話で暗証番号を伝えたり、キャッシュカードを渡したりしない(警察官や銀行協会の職員等が暗証番号を聞いたり、キャッシュカードを預かったりすることはありません)。迷ったら警察相談専用電話「#9110」か消費者ホットライン「188」へ。そして、大きな金額を動かすときは家族に事前に話すことを家庭内ルールにしてください。

判断力の低下と相続に備える:口座整理・代理人届・出口ルール

資産が減る原因は、相場と詐欺だけではありません。認知機能が低下して金融機関が本人の意思確認をできなくなると、本人のためのお金でも引き出しや解約が難しくなることがあります。とはいえ資産の一覧表づくりは、必要だとわかっていても手間が大きく、途中で止まりやすい作業です。そこで、最初の一歩を極限まで小さくします。

  • 今日はノート1冊に「メインの銀行名」と「証券会社名」の2つだけ書く:残高や暗証番号は後回しでかまいません。これだけで、いざというとき家族は本当に助かります
  • 使っていない口座は元気なうちに解約し、通帳を3冊以内に絞る
  • 取引先の銀行・証券に「代理人届・代理人カード」の制度があるか聞いてみる(事前に届け出た家族等が、金融機関所定の範囲で取引できる場合があります)
  • 任意後見や家族信託まで考えるなら、司法書士・弁護士など制度に利害のない専門家に相談してから決める
  • 「80歳になったら投資信託は売却して預金と国債だけにする」のような出口ルールを紙に書き、家族と共有する

自分で進めてよい範囲と、窓口・専門家に相談したほうがよい4つの条件

この記事の範囲――お金の仕分け、預金・個人向け国債・分散型投信の使い分け、取り崩し額の設定――は、多くの人が自分で進められます。一方、次の4つのどれかに当てはまるなら、専門家の力を借りるほうが安全です。相続や不動産・事業資産が絡む場合、年金だけでは明らかに足りず家計全体の設計が必要な場合、すでに理解できない商品を保有していて解約すべきか分からない場合、詐欺かもしれない話にお金を払ってしまった場合です。

窓口には注意、とはいえネットの操作は不安。その場合も選択肢は残っています。個人向け国債は銀行・証券会社・ゆうちょ銀行や郵便局の窓口で買えて、複雑な操作は不要です。投資信託やNISAの口座開設は、本人が操作しながら、ネットに慣れたお子さんに隣で手伝ってもらう方法もありますが、開設までの日数は金融機関によって異なります。一人で窓口に行くなら、「手数料の低い、指数に連動する分散型の投資信託」と用途を先に決めてから出向き、その場で別の商品に切り替えないことをルールにしてください。

窓口で営業されたとき、そのまま使えるセリフ

「もっと良い商品がありますよ」と言われたら、こう答えてください。「子どもに『個人向け国債以外は買ってくるな』と固く止められているので、今日は結構です」。自分の意思ではなく「家族のルール」を理由にすると、角を立てずに断りやすくなります。

相談先を選ぶときは、その人の収入源を必ず確認してください。銀行や証券会社の窓口では、商品の販売・推奨に伴う手数料等が収益になる場合があり、利益相反が生じる可能性があります。無料相談でも、商品の販売元などから報酬を受けている場合があります。誰に相談するにせよ、「あなたの報酬はどこから出ていますか」と聞くこと。まともな相手なら、この質問に嫌な顔をしません。

70代の資産運用でよくある質問

70代からNISAを始めるのは遅すぎますか?

遅くありません。ただし「増やすため」ではなく「非課税で取り崩すため」に使います。年齢の上限はなく、非課税保有期間も無期限です。始める前に、半分に値下がりしても生活に響かない金額かどうかだけ先に確かめてください。

退職金や相続でまとまったお金が入りました。すぐ運用すべきですか?

いいえ。すぐに全額を運用する必要はありません。まず預金保険制度の範囲を確認しながら普通預金などに置き、その間に本文の手順どおりお金を仕分ければ十分です。慌てて合わない商品を買うことを避けるための期間です。

70代・80代で投資をやめる年齢の目安はありますか?

一律の正解はありません。「年齢」より「自分で管理・説明できるか」で決めます。元気なうちに「◯歳になったら値動きのある商品は売却して預金と国債に移す」という出口ルールを決めて家族と共有しておくと、あとで迷いません。日本証券業協会のガイドラインでは、高齢顧客への勧誘手続きの目安として75歳・80歳が示されていますが、投資をやめる年齢を定めたものではありません。

まとめ:70代の資産運用は「増やす」より「守って使い切る」

70歳からの時間は平均でも15〜20年あり、資産と付き合う期間としては十分に長い。けれども、減ったお金を給与収入で補う力が現役時代より小さくなりやすい以上、勝負のルールは現役時代と別物です。守りを固めた人から順に、安心してお金を使えるようになります。

  • 最初の一歩は商品選びではなく、お金の仕分け
  • 投資は「半分になっても困らない金額」まで
  • 金利のある今は、国債の利息も資産寿命を支える
  • NISAの非課税扱いは本人の死亡で終了する
  • 詐欺対策・口座の整理・出口ルールは、投資収益に依存しない資産防衛策になる
最後に:今日あなたがやること

70代のご本人へ:今週末、通帳と保険証券をテーブルに集めることから始めてください。使っていない口座があれば、解約の準備(通帳を3冊以内に絞る)だけで頭がすっきりします。

親のお金が心配なご家族へ:次に会うとき、この記事を見せる前に、こう声をかけてみてください。「最近投資詐欺が多いらしいから、うちの口座が防犯上大丈夫か、一緒に整理してみない?」。「運用」ではなく「防犯・整理」を入り口にすることが、親の尊厳を傷つけずに一緒に通帳を開くコツです。

出典

厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」(公表日:2025年7月25日)
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」(公表日:2026年2月6日)
日本証券業協会「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則第5条の3の考え方(高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン)」
公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
全国銀行協会「えっ、銀行が…!? その時、預金はどうなる(預金保険制度)」
財務省「個人向け国債の発行条件等」(公表日:2026年7月3日)
財務省「個人向け国債窓口トップページ」
金融庁「NISAを知る」
日本証券業協会「NISAのよくある質問」
金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(公表日:2026年5月22日)
金融庁「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」(更新日:2026年6月24日)
警察庁「キャッシュカード詐欺盗」
全国銀行協会「預金者ご本人の意思確認ができない場合における預金の引出しに関するご案内資料の作成について」(公表日:2020年3月26日)
金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」(改訂日:2024年9月26日)

この記事を書いた人

「インベスターナビ」は、資産運用・投資に関する総合情報を発信する専門メディアです。初心者から上級者まで、幅広い投資家に向けて最適な運用戦略と専門家の知見を届けます。当サイトでは、アドバイザーナビ株式会社が実施した資産運用アンケートや独自リサーチをもとに、信頼できるIFAランキングおすすめのネット証券、厳選した株式銘柄などを徹底比較。さらに、株式・投信・NISA・退職金運用に加え、IRインタビュー記事や年代・資産額別ポートフォリオ事例まで、実践で役立つ情報やノウハウをわかりやすく解説しています。

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